第8話 期末試験
MJを意識してか、僕は真面目にとは言っても、歴史の教科だけだったが勉強に取り組み始めた。
試験で少しでも上位に成れば、また少し、MJとの距離が違った意味で縮まるのではとの微かな希望を抱いての事で在る。
元々、歴史好きであったので、この教科一本に狙いを定めた。
何処に行くにも僕のズボンの後ろポケットには歴史のノートが控えていた。
こう見えても僕の一日は忙しかった。
早朝に起き新聞配達を済ませ、授業が終わると部活に向い、一旦家に戻り食事が済むと、新聞店でチラシ入れの作業が待っていた。
その合間を縫っての勉強である。
寝る前にも机に向かった。
母親は何事が起きたのかと訝っていた。
親から勉強しろと言われた事は一度もない。
ただ、『人様には迷惑をかけるな』
と言われて居ただけである。
その割には万引きなど案外平然とやって来て居た。
話は戻って、
期末試験が終わり、しばらくして、テスト用紙が配られた。
僕の成績はと云うと、なんと上位に喰い込んで居た。
名前が呼ばれると、教室内に小さな波紋が拡がった。
どや顔を浮かべながら教壇に向い、テスト用紙を受け取り、少し照れながら席に戻って来ると、先にその工程を済ませ席に座って居たMJと眼が合った。
MJは一度目を大きく見開いて見せた。
それが何を意味して居るのか分からなかったが、彼女の僕への認識が少しは改められて居たのなら幸いである。
元々は、彼女に見直して貰いたくて始めた勉強である。
何とかとサルはおだてられると木に登るらしい。
僕もその部類で在った。
MJの眼差しに変化が訪れ出した。
僕は勝手に良い様に解釈した。
ならばと、次第に自宅の机に向かう回数が増え始めた。
『二学期には目にモノを見せつけてやるんだ』
どこからか、そんなエネルギーが込み上げてきた。
それもこれも、MJに認められたかったからだ。
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