第4話 自慰

 これは犯罪に成るのだろうか?

 人の物を勝手に取り出し、用を済ませ元に戻すことが~。



 深夜の学校、もちろん誰も居ない。

 用務員は自室で眠って居るに違いない。


 教室に忍び込む。

 前後の出入り口には鍵が掛かっている。


 通路に面して靴箱が設けられてある。

 下には風通しの為の扉があった。

 立は30センチに満たない。

 横は50センチは在るだろうか。


 それが二つ並んで施錠されている。

 かなり古く成って居た。


 体を寝かして、その扉を左右に動かすと、少しづつ、内側の施錠が戻って行く。

 10回ほど繰り返すと、その扉が開いた。


 すくすくっと体を這わせ進める。

 机や椅子を押しやって、中に入る事が出来た。


 目当てはMJの椅子に掛けてある袋だ。

 その中には彼女の体操着が入って居る。


 僕は思春期の真っただ中だ。

 既に、オナニーは覚えていた。

とは言っても、射精を伴わないドライオーガズムでしかない。



 MJの上着を袋から取り出し、その匂いを堪能して行く。

 股間が膨れ上がり、机に擦りつけた。

 やがて、興奮が高まり絶頂期に至る。


 しばし余韻に耽った後、その上着を袋に仕舞った。


 後ろめたさを感じたのだから、やはり、これは犯罪行為だ。



 翌日、なに事もなかった様に登校する。

 MJの顔を眺めつつ、征服者の様な想いに感じ入った。

 彼女はおろか、誰も、昨夜の僕の行為を知らない。

 

 何食わぬ顔で、MJに向って、

「おはよう」


 何も知らないMJは普段通り、

「おはよう」

を、返してくれた。

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