第6話 遺跡までの道程
依頼の待ち合わせ時間までまだしばらくある。
なんとなく待ち合わせ場所である東門まで来てしまった。
まだ時間には余裕があるし、薄汚れた格好をした老人がアミュレットを売っているのが目に入る。
「こんにちは。それは守護のアミュレットですか?」
「いらっしゃいませ。守護のアミュレットでは無いですが恩寵のタリスマンの欠片で作ったネックレスです」
「見せてもらっていいですか」
「どうぞどうぞ。手に取ってよく見て下さい」
と店主とやり取りをした後、手に取って確認をしてみる。
守護のアミュレットよりかは安いがそれでも支払える価格だ。
「恩寵のタリスマンの欠片?」
「はい。恩寵のタリスマンの欠片で作ったネックレスです」
「すみません。この恩寵のタリスマンって何ですか?」
と店主に聞くと、俺の横から依頼人のケビン殿がこられて
「えっと……昔々にこの世界に存在したとされる神の使っていたとされる物ですね」
と、簡単な説明をして下さった。
「なるほど。では、その神の恩寵のタリスマンってどこで手に入るんですか」
と、俺が聞くとケビン殿は
「それが……もう存在しないんですよ」
と、言うので俺は
「え?存在しない?それはどういう事ですか?」
と聞くとケビン殿は続けて説明をして下さった。
「昔に恩寵のタリスマンを巡る戦いが起きてしまい、聖者と悪虐王ピー・スー・シュンの一騎打ちの時に砕けてしまい、もう存在しないんですよ」
と、説明してくれたが俺はそんな説明より気になる事があった。
それは……聖者と悪虐王 ピー・スー・シュンって誰だ?
「あの……ケビン様。聖者と悪虐王 ピー・スー・シュンって誰ですか?」
と聞くとケビン殿は
「え!聖者様を知らないのですか!」
と驚かれたので俺は素直に知らない事を言うとケビン殿は説明をして下さった。
聖者とは人々の争いに介入し平和をもたらそうとする聖者様。
悪虐王とは人々の争いに介入し、その闘いを好み人々に平和など訪れさせない悪虐の王。
と説明されたので俺は疑問に思った事をケビン殿に聞いた。
「あの……ケビン様?すいませんがピー・スー・シュンは?」
と聞くとケビン殿は言いにくそうにしながら説明してくれた。
「ピー・スー・シュンはね……ピー・スーは……えーと……」と、ケビン殿が言いにくそうにしているので俺は
「言いにくいのですね?この話は此処までにして遺跡調査の話でもしましょう」
と、言うとケビン殿も
「そうですね。そうしましょう」
と、言って遺跡調査の話になったので俺はケビン殿に質問した。
「あの……遺跡は何処にあるのですか?それと遺跡の危険度は?」
と言うとケビン殿は説明を始めた。
「遺跡はここから東に行った所にありますよ。危険度ですが……まだ分かりませんね。何せ、ここ1ヶ月ぐらい前に見つかり、本格的な調査には誰も行った事が無いので」
と説明してくれたので俺は
「なるほど。では、今日行く遺跡調査の難易度はどのぐらいになるのでしょうか?」
と聞くとケビン殿はニタリと笑い、
「それは……行ってからのお楽しみですね」
と、言うのであった。
俺はケビン殿がニタリと笑い、遺跡調査の難易度が分からない事に不安になるのであった。
俺とケビン殿が遺跡調査について話しているとサガミの街の近くにあるトウカ村の中心部までたどり着いた、このトウカ村はサガミの街の衣と食を支えている村で多くの移民者が移り住んでいて村でありながら町クラスの規模を誇っておりかっきにあふれている。
だから、村には多くの村人が住めるような家屋から衣食を売ってる店まである。
そんな村の中心部まで着いたらケビン殿は
「えーとですね……サガミ遺跡は、ここから北東の方向にある高見山の裾野にあります」
と、説明してくれたので俺は
「なるほど、高見山の裾野ですか。では、その高見山には何か遺跡があるのですか?」
と聞くとケビン殿は
「いえ、高見山には何もありませんね。ただ……このサガミ遺跡が見つかる前に1度調査をしたら何も無かったらしいです」
と、説明をしてくれたので俺は
「なるほど……1度調査をしたら何もなかったのに何故また調査を?」
と聞いた。ケビン殿は破顔し
「遺跡を研究している者にとって未知の遺跡は浪漫を感じる物なのだよ」
とダンディに決めるが、ミトゥース殿のがボソッと
「ホントの所は?」
と、言うと
「昔からの知り合いが他の遺跡で魔導書を発見して妬ましいから」
と、本音をポロリと洩らした。
そのケビン殿の本音を聞きミトゥース殿は
「なるほど……妬ましいから」
と納得していた。
そんなやり取りをしていたらサガミ遺跡の外縁部に到着した。
そこは高見山の麓にひっそりとあったが、そこは森に囲まれた場所で近くに小さな村の跡がある以外は特に何もない場所だった。
ここに来るまでの道中では何回かダッシュボアなどの獣と遭遇したが全部俺達だけで倒した。
それから村の跡からしばらく歩くと大きな石造りの建物が見えてきた。
あれがおそらく遺跡なのだろう。
「ではそろそろ休憩しませんか。」
俺は、ケビンさんに休憩を提案してみる。
「エドワードさん、遺跡までもう少しなので入口付近まで行きませんか?」
ケビンさんは遺跡が近くなり興奮してるのだろうか、休憩を今とらずに遺跡の近くまで行って休憩をとろうとの事。
「はい、大丈夫です!」
俺は元気よく返事をした。
「あの、エドワードさん……」
ケビンさんの興奮は、遺跡に近くなるほど高まってるようで饒舌になっているようだ。
「ん?何ですか?」
ケビンさんは、何がしたいんだろう。
「いえ、私も一応戦えますよ?こう見えて結構強いんですよ!」
ケビンさんのドヤ顔が少し眩しい。
「へぇーそうなのか!それは頼もしいな」
俺は適当に聞き流す。
「はい、なので足手まといにはならないと思います」
ケビンさんがしつこくアピールしてくる。
「ところでエドワードさんはどのような武器を使うのですか?」
「刀だけだよ、剣とか槍とか弓とか使ったことないし」
「そうなんですか!?珍しいですね~」
「まぁ、確かにそうだな。でもこれしか使えないんだよな」
「そうなんですか……」
「そういえばケビンさんは攻撃手段だは何を?」
「私の場合は魔法や薬品とアイテムを使う攻撃補助がメインですね」「おお、回復役って感じなんだな」
「はい、そういうことです」
そんな会話をしながら歩いているうちに目的の場所に着いた。そこは遺跡の中でも大きな建物だった。
「ここが知り合いの言っていた洞窟の入口です」
ケビンが得意顔で地図に何かを書き込んでいる、俺とミトゥースはは周りを確認し安全を確保する。
「こんなところに洞窟の入り口があったのか……全然知らなかったな」
「ふむ、やはりここから遺跡に行けるみたいですね」
ケビンは地面に落ちていた石を拾い上げながら言った。
「しかし困りましたね……道が塞がれています」
「えっ、マジかよ……それじゃあどうすればいいんだ?」
「うーん、これはおそらく誰かが先に調査をしていたんでしょうね。だからもう中に入ることはできませんね」
入口を潰され遺跡に入れない俺たちは途方にくれてるのだった
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