第5話 新人冒険者(ルーキー)
(これから冒険者として生活になる第1歩、初めての依頼を受けなければ!)
エドワードは、ミトゥースに促されるままにギルドの中へ入ったのはいいが考え事をしてるのかそのまま受付に行こうとしていた。
「待って下さいエドワード殿、受付に行く前に依頼ボードでどんな依頼が有るのかを確認しましょう。」
ミトゥースはそう言ってエドワードが手ブラで受付に行くのを止めた。
「確かにそうだな……まずはどんな依頼を受けるか決めないとな。」
エドワードは、そう言うと依頼ボードに視線を向ける。(アレっ?昨日より何か分からないけどエドワード殿の雰囲気が変わった?)ミトゥースはエドワードの雰囲気が変わった事に少し戸惑いながら依頼ボードに視線を向ける(エドワード殿、少しだけど自信に満ちた感じなのかな?)
「アレっ?ミトゥース殿、これはどういう事だ?」
エドワードは、依頼ボードを見ながらそう呟いていた。
「エドワード殿どうしたんですか?」
ミトゥースが心配そうにエドワードに問い掛けるとエドワードは自信に満ちた表情でミトゥースの方に向き直りこう告げた。
「ミトゥース殿、この依頼ボードには昨日まで無かったはずの『遺跡調査』が有るのだが……これはどう言う事だ?」
エドワードは、そう言って少し威圧を放ちながらミトゥースに問い掛ける。
ミトゥースは、エドワードの威圧に少し気圧されながらもこう答えた。
「そっそれは、昨日遺跡調査したい人が依頼したではないでしょうか?それで依頼ボードに追加したのではないですか?」
ミトゥースは、エドワードの威圧に少し怯えながらもそう答える。
するとエドワードは、納得したように頷きこう言った「成る程な」と……
そしてそのまま依頼ボードに近付き『遺跡調査』の依頼書を剥がし受付に持っていく。
「ちょっとエドワード殿!?いきなり何をなさるのですか!?」
ミトゥースは、慌ててエドワードを静止しに行こうとしたが時は既に遅かった。
「この依頼を受ける」
そう言って受付に『遺跡調査』の依頼書を差し出していた。
「いっいえ!まだ早いですよエドワード殿!」
ミトゥースは慌ててそう言って依頼書を取り返そうとしたが、エドワードは依頼書を受付の人に渡してしまった。
「へっ?」ミトゥースは、呆然としていた……するとギルドの中から笑い声が聞こえてきた。「ハッハッハ!おいおい、アイツが『遺跡調査』を受けるぜ」
「まだ早過ぎるだろう!」
「何を考えてんだか?」
などと言って笑っていた。
エドワードは、それらの声を気にした様子は無く受付の人からギルドカードを受け取りミトゥースの下に戻って来た。
するとミトゥースは、エドワードに問い掛けた。
「エドワード殿!?何故いきなり『遺跡調査』の依頼を受けたのですか!?」
ミトゥースは、必死な表情でエドワードに詰め寄る。
するとエドワードは、ミトゥースにこう答えた。
「ミトゥース殿、私は今日この依頼書を見た時に思ったのだ……『遺跡』が有るのならば『調査』しなくては!とな!それに初心者限定と書いてあったからな!」
エドワードは、自信に満ちた表情でそう答えた。
そしてミトゥースは、そんなエドワードを見てこう呟いた……「やっぱり何か違う……」と……
その後、2人はギルドの依頼仲介人のダンディスによって依頼人の情報を教えて貰うとギルド内の飲食スペースのテーブルに着くのであった。
「エドワード殿、本当に『遺跡調査』の依頼を受けるおつもりですか?」
ミトゥースは、エドワードにそう問い掛ける。
「あぁそのつもりだ」
エドワードは、そう答える。
「しかしですね……」
ミトゥースはそう言って口籠もる。
するとエドワードは、こう告げた。
「だって、遺跡調査って面白そうではないでか?」
「えっ?そっそれは……そうかも知れませんが……」
ミトゥースは、そう言ってエドワードの意見を肯定する。
(確かに遺跡調査は、面白そうですが……)
「それにな、ミトゥース殿!俺は、『遺跡調査』の依頼を是非とも受けてみたいのだ!遺跡で何かが俺を待っているような気がするんだ!」
エドワードは、力強くそう言った。
するとミトゥースは、少し考えこう告げた。
「分かりました……しかし1度だけですよ」と……そして2人は、『遺跡調査』の依頼主に会いに行くのであった。
「ここが依頼人が居る場所です。」
ミトゥースは、そう言うとエドワードにそう告げた。
2人は、今依頼人の居る家の前に立っていたのだ……そしてミトゥースはこう告げた。
「エドワード殿、私はここまでしか案内出来ませんので後はご自分でお願いしますね」
そう言って立ち去ろうとした時、エドワードがミトゥースを呼び止めた。
「あっ!待ってくれ!ミトゥース殿は一緒に来ないのかい?」
するとミトゥースは、こう答えた。
「エドワード殿、私はこの依頼を受けていないので依頼人に会う資格が無いのですよ……」
そう言って立ち去ろうとした時、エドワードが呼び止める。
「いや!受付の人の話ではギルドに登録している冒険者パーティーのメンバーなら誰でも依頼者と会う権利があると言っていたから問題はないはずだ!」
それを聞いたミトゥースは足を止める。そして少し考えた後こう告げた。
「分かりました……それでは一緒に行きましょう」
と……
2人は、依頼人の居る家の中に入る。
「御免ください、ケビンさんのお宅でしょうか?」
ミトゥースがそう言うと奥から1人の男性が現れる……
そしてこう告げた。
「私がケビンですが……それでどのようなご用件でしょうか?」
その男性は、ミトゥースにそう問い掛ける。
するとミトゥースは、少し言い辛そうにこう言った。
「実はですね……」
と……そしてエドワードが前に出ると男性にこう告げたのだ。
「私は、あなたが出された依頼を受けた冒険者のエドワードとミトゥースです!本日はよろしくお願いします!」
「ミトゥースさんとエドワードさんですね……こちらこそよろしくお願いします。」
男性は、そう言って2人に頭を下げたのだった。
2人は、男性の家に入ると依頼内容を確認する為に男性に質問した。
「ケビンさん、改めて確認ですが遺跡調査の内容なのですが、ケビンさんと共にサガミ遺跡まで赴き調査するとありますが、護衛と探索は、どちらを優先にすればよいでしょうか?」
ミトゥースがそう尋ねるとケビンさんはこう答えた。
「調査の方を優先してお願いします!」
するとエドワードがケビンさんに問い掛ける。
「質問宜しいですか?」
「何でしょう?エドワードさん」
ケビンさんがそう答えるとエドワードは、ある疑問をぶつけてみる事にした。
「何故にい初心者冒険者に依頼したのでしょうか?」
それを聞いたケビンさんは、少し考え込みそしてこう言った。
「そうですね……お金が安く済みそうだったので……」
「お金が安いから?」
エドワードは、思わず聞き返してしまう。
するとケビンさんがこう答えたのだ。
「はい!私は、しがない貧乏学者でして……その……お恥ずかしい話なのですが、あまり資金に余裕が無いので……」と……
それを聞いたミトゥースは、少し考えこう言った。
「分かりました……では依頼の報酬についてですが、私たちは追加報酬は受け取りませんので、ケビンさんが調査で得た物全ては、ケビンさんの物としてください。」
それを聞いていたケビンさんは、驚いてこう言った。
「なっ何故にそんなにも親切にしてくださるのですか?その……報酬の事で揉める事は多々有るので……」と……
それを聞いたミトゥースはこう答えたのだ。
「私は冒険者として依頼を受けただけですよ」と……
そしてエドワードが「私も同じです」と付け加えた。
それを聞いたケビンさんは、2人に感謝の言葉を述べて頭を下げたのだった。
その後、依頼内容を確認したエドワードとミトゥースはサガミ遺跡に向かう準備をする為にケビンの家を後にしたのだ。
「ミトゥース殿!やはり冒険とは、ワクワクするものだな!」
エドワードは、ギルドの近くにある雑貨店で冒険用の道具類を物色しながらそう話す。
そんなエドワードにミトゥースもこう答えた。
「そうですね!私もワクワクしていますよ!」
そして2人は、必要な物を購入してギルドに向かうのであった。
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