第11話

FEBRUARYとJUNEは、見知らぬ世界の荒廃した光景に息を呑んだ。大地は血で染まり、空は硝煙で灰色に覆われ、戦争の叫びが果てしなくこだましていた。人間たちは憎しみの炎に身を焦がし、互いに武器を振るい、涙も嘆きもない冷たい殺戮を繰り広げている。その混沌は、彼らが知る現実の戦争とは桁違いの絶望を映し出していた。FEBRUARYは目を細め、遠くに広がる戦場を見渡す。「これは……人間が、自らの怒りと悲しみで世界を塗り潰しているようだ……」


JUNEは小さく頷き、手元の観測装置を操作する。「この戦争の波紋は、私たちの世界にも影響している。おそらく、我々の戦争はここから始まったのだろう」


二人は戦場の中心に近づく。破壊された街、砕け散る建物、そして血に塗れた地面。そのすべてが、戦争というものの残酷さをまざまざと見せつけていた。彼らの心に、ある決意が芽生える。もし、この最初の戦争を終わらせることができれば、二人の世界に連鎖する争いも止められるのではないか――その可能性に、FEBRUARYとJUNEは揺るぎない覚悟を持った。


「ここで立ち止まってはいられない。介入するしかない」FEBRUARYは低くつぶやく。JUNEも同意し、二人は静かに戦場へ足を踏み入れた。


戦場は混沌そのものだ。飛び交う矢、砲撃の轟音、そして絶え間ない叫び。だが二人には、人間たちの憎悪を和らげる力があった。それは戦場に介入するための方法であり、同時に二人の使命の証でもあった。FEBRUARYは空気を振動させ、戦場の一角で光の障壁を広げる。JUNEはその障壁の中で、戦士たちの意識に静かに触れ、怒りや悲しみを少しずつ和らげていった。


しかし、すぐには変化は現れない。人間たちは互いを睨みつけ、言葉にならぬ憎悪を叫ぶ。FEBRUARYは額に手を当て、頭の中で計画を練り直す。「焦るな、JUNE。少しずつだ……」


JUNEは頷き、彼らの前に立つ戦士の一人に手を差し伸べた。最初は怒りの炎で跳ね返されそうになるが、JUNEの静かな声と存在が、徐々に相手の心に届き、拳を下ろさせる。戦場の一角に、初めての静寂が生まれた。


その変化は微細だが、確実だった。血で染まった大地に、わずかな光が差し込む。FEBRUARYとJUNEはその光を追い、次々と戦士たちに手を差し伸べていった。戦争の連鎖を断ち切る作業は、一瞬の勝利ではなく、長くて忍耐のいる戦いだった。しかし二人は信じていた。最初の戦争を終わらせることで、未来の世界の争いも止められるという希望を。


やがて、荒廃した街の中心で、二人は立ち止まる。ここに残る戦士たちは、少しずつ顔色を取り戻し、叫びではなく、ため息や泣き声を上げ始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る