33.土台

僕が勝手に育ち方を間違っただけ 僕がただ上手く生きられなかっただけ


誰に教わらずともなれるはずのそれに僕はなれなかった 当然のように

俗に言う「親の顔」は関係ない だから 見るなら僕だけを見ろ そう言いたい

すべての原因はこの僕の不出来さにある


「これは卑下ではない」 きっと誰もがそう言う

なぜなら 誰もが己を正当に評価し得るから

その中の一人だと自負している 人間様であることを憂いている

自己はいつも渦中にいて 自身の問題をいつでもそこに垂れ流している

その中の一人であることも自覚している


僕はただ言葉にしがみつきたいだけだった

言葉の渦に飲まれたのは もう疾うの昔 思考も意図も言い訳も虚しさもすべてそこから掬った

「そうして書いた「詩」を今でも大事に抱えながら生きている」

そう語れる日が来ることに もはや何の意味もないことを僕は知っている・・・


すべては後悔の裡にあって―― ただ 後悔しようのないことも確かにある

そしてそこにこそ誇りと自負を差し挟む余地があると考える

分を弁えるより分を尽くし 目を伏せるより腰を据える

梃子でも動かないその土台は 物心ついた時から僕らのものでしかなく もうどうこう出来るものでもない

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