31.虚像の実像
するのは永遠に自分の真似 そうでなくてはいけない
誰かを真似てもつまらないから
自分の中の自分を見出してこそだから
とか何とか衒学ぶってみる
こんな僕でも大口をたたくのは簡単
軽口でもたたくように大袈裟言っていればよいのだから
格好つけ 見栄っ張り 大天狗 どれをとっても当てはまる
そんな自分に嫌気がさして 僕はとうとう僕からの脱却を図った
そのためには先ず 生き方を変えねばならない
浅知恵を捨て 愚行をやめ 媚びも諂いもしない
そうすることが僕の品をも変える
品を変えたなら今度は質をと
路傍の花を愛で ひこうき雲に詠嘆を漏らし 名もなき猫に道を譲る
こんな何気ない日常を送ればこそ 僕の人生も幾分か報われる
かつての僕が云う 「あり得ないことだ」と 「真に逃れられはしまい」と
僕はもう自分を真似るのをやめ 僕からの脱却を果した
それからはこの世界で生きるため 当たり前のように誰かを真似し始めた
すると 報われたと思っていた人生が 途端につまらないものに思えてきた
いつしか僕は 確かに居るのに居ないような感覚を覚え いっそ消えてしまいたくなった・・・
するのは永遠に自分の真似 誰かの真似など以ての外
加えて 虚構こそ至高と考えを譲らないこの精神が 僕を現実から遠ざける
だが 「それでも構わない」と 「僕はこう在りたいのだ」と 顔を上げ云う言葉のその心強さよ
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