熱海の美術館(1461文字)

友人と二人で、MOA美術館に行ってきた。



2時間ほどPOLA美術館を楽しみ、次の目的地のMOA美術館へと向かった。


ナビの到着予想は昼頃だったので、少し空いているかもしれないと、淡い期待を抱いていた。



道中、熱海サンビーチ沿いを通り、「貫一お宮の像」を見た。


尾崎 紅葉や、カクヨムで見たエッセイの作者さんもここに来たんだなと、聖地巡礼を楽しみつつカーナビの指示を待っていた。


カーナビは何も言わなかったが、友人が看板を見つけ、美術館は左らしいと主張した。


それに従い左折すると、正面に熱海プリンの店舗がある交差点に出た。


ナビがこの交差点を右だというので右折すると、先程まで走っていた国道135号線に戻ってきた。


ただ遠回りをさせられた感は否めないが、「熱海駅前にはたくさんの観光客が訪れており、賑わいを感じられて良かった」ということにしておこう。



かなりきつい勾配の狭い上り坂をエゴエゴと進ませるナビを不審に思うこともあったが、無事に美術館まで導いてくれた。


ナビ様に対して、疑念を抱いたことについて、ここに謹んで深くお詫び申し上げたい。



駐車場にはすでにたくさんの車が停まっており、美術館内の混雑も容易に想像させられた。


僕たちがチケットを購入したのは3階らしく、階段を下って左手に入口があると説明を受けた。


階段を下ると右手にも人がいることに興味が湧き、僕たちはそちらの方に吸い込まれるように進んでいった。


車でかなり登って来ていたようで、正面には広がる海と、その先に初島がきれいに見えていた。


さらに階段を下っていくと、説明されたのとは違う入口が目に入った。



こちらの入口に入ってみるとエスカレーターがあったので、僕たちは好奇心に押され、そのエスカレーターを下ることにした。


下るとまた下りのエスカレーターがあったので、また下ることにした。

下るとまた下りのエスカレーターがあったので、また下ることにした。

下るとまた下りのエスカレーターがあったので、また下ることにした。


何度エスカレーターを下ったのだろうか。

残念ながら、このエスカレーターが、かつて僕たちが存在していた世界線に繋がることは、もうないのだろう。


そう悟りかけたその時、下の階に別の出入口と案内員さんを見つけることができた。


……さて、戻ることにしよう。


上りのエスカレーターを5回ほど乗り継ぐことで、ようやく正規の入口へとたどり着くことができた。


重厚な自動ドアが開くと、目の前に大きな空間が広がった。


エントランスの天井は高く、部屋の突き当たりまでは、ダッシュしても10秒はかかりそうだった。



展示室はやはり混雑しており、あまり作品を見る気にはなれなかった。


僕には、居づらい空間だった。


僕は少し離れた場所から作品を眺め、人がいなくなったら近づいて見る、ということを繰り返していた。


それでも、半分以上の作品は遠目で眺めるだけにして、先へと進んだ。



国宝「紅白梅図屏風」と重文「風神雷神図屏風」は同じ展示室に、L字に配置されていた。


もちろん、この展示室も例外ではなく、いままで以上にたくさんの人たちで溢れていた。


しかし、むしろそのおかげで背の高い僕は人垣の後ろに突っ立ち、遠目ではあったが鑑賞し続けることができた。



熱海での一番の思い出は、何と言っても「人が多かった」ということになってしまう。


以前から博物館や美術館が好きで、いつか首都圏に移住したいと思っていた。


カクヨムで企画展のエッセイを読んで、その気持ちはより強いものになっている。


しかし、現実はどうだろう。


人が多いのは、どうにも苦手なようなのだ。

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