第4話 目の色
「あー…なんかとっても悪いことを気がしたする…」
「しょうがねえだろ…俺たちにも俺たちの事情があるんだ…」
さっきの輩たちを素通りして、俺たちは現在コンビニに来ている。なんというか少し気休め程度にだ。
「あういうのには極力関わりたくないね…
私たちからすれば注意できる立場ではあるものの…やっぱり気が引けちゃうね…」
「だな」
先ほどの少年の話をぼちぼち話、そろそろ帰ろうとなり立ち上がった瞬間
「ね、ねえ!!ジンさん!!あの子!!」
「え?…アッ!!」
さっきのC級下位の子だ!!さっきの輩にボロカス言われたのだろうか、目には涙を堪えたようにうるうるしている。
「さっき見過ごしたぐらいだからちょっと慰めに行ったりするぐらいやったほうが良いかなあ…」
「いや…やめとけよ…」
「でもまあ…ちょっとぐらいなら良いんじゃない…?」
と若菜摘は言う。あの少年にそんなに慈悲をかける意味がわからない。この世界では、ああいうことがよくあることだから。
「いや、でも」
「お願いジンさん!!今度焼き肉奢るから!!」
「よし、乗った。この先輩たちが優しく教えてあげようじゃねえか!!!」
人のお金で食べる焼き肉には敵わない。
若菜摘と焼き肉の約束をし、俺たちはその少年の元に歩いて行った。
「ねぇ、ちょっとごめんね!!なにかあったのかな?大丈夫?」
若菜摘が少年の顔色を疑うようにそう言った。
少年は驚いた顔を顔をして若菜摘と顔を合わせないよう俯いた。
「なんでもありません、!だ、大丈夫です、!!」
そう言い少年は逃げようとした
「ごめんね!!強引に引き寄せちゃって!!実は私たちさっきの一部始終見ちゃってたんだ…助けれなくてごめんね。良かったらあったこと聞かせてほしいな。絶対力になれるから。」
少年は堪えてた涙を流した。
だが泣いているせいか上手く喋れそうにない。だからさっきいたコンビニを離れ、近くの公園のベンチに移動し、少年がまともに喋れるようになるまで慰めた。若菜摘が。
「大丈夫?話せそうかな?」
「…はい、」
「良かった。それじゃあ話、聞かせてほしいな。」
「はい…わかりました…」
そういって少年は語り出した。
「僕、昔からずっとC級のままで、だからずっと努力してきたんですけどランクは上がらないままで、でもみんなはどんどんランクを上げて行っちゃって…」
「うんうん」
「それで、ランクが上がらない僕は目をつけられちゃって、毎日色々言われるようになって…役立たずとか、低脳とか、雑魚とか…」
「ランクを上げれない僕も悪いんですけど…でももう色々言われるのは嫌で苦しくて…」
そういって彼はまた泣き始めてしまった。
「ランクを上げれない君のせいじゃないよ。
人には人の限度ややり方がある。だから君はなにも悪くないよ。」
「でも、もう上がらない気がするんです…
見返してやりたいのに…もう僕はなにもできなくて…」
「ランクが全てじゃない。君、今日のランク発表会には参加したか?」
「あ、えっと、はい…」
「そうか。それじゃあ1つ思いだして。司会者はランクと同様もう1つ大事な物があると言った。それはなんだった?」
「目ですか…?」
「そうだ。″目″だ。」
「でも…目ってそれを怪我して価値を下げたり、犯罪に巻き込まれて目を奪われたりとかそういう意味ですよね…?それじゃあもう意味なんてないじゃないですか。」
「確かにそれもあるだろうね。でも言いたいことはそういうことじゃない。目…といってもそれは″色″に関係する話だ。」
「い、色…?」
「ジンさん、それを言うの?それはその…そのことが、この子をこんな風にさせた人に広まったら悪影響になるんじゃ…?」
そんなことわかってる。だからこれは一か八かの賭けなんだ。今の彼を救うにはこの残酷なルールだって教えないといけない。
「…わかってる。だから1つ約束だ。今から言う話は″絶対″に誰にも言っちゃダメだ。何故ならこれは君1人が知ると強みになるが、他の人にバラすと君はもっと弱者の位置になってしまうからだ。」
「う、うん…」
「フリじゃないよ」
「わかった…それが本当に僕の強みになるって信じる…誰にも言わない…だから教えてほしい。」
「わかった。この世界では目…といってもそれは目の色が特に重要視されるんだ。」
「目の色?」
「これはその内気づくことにはなるんだろうけど、君にだけ特別に先に教えてあげるよ…感謝してね!!」
「は、はい。」
「まず目の色でこの世界の人間は強さがほぼ決まるんだ。勿論例外もある。」
「はい、!」
「目の色の強さは赤、黄色と特殊、透明の順にわけて強くなる。黄色と特殊は特殊のほうが能力に優遇はされる。」
「特殊…?特殊ってどんな感じの目なんですか?」
「例えば、目の中の瞳孔が星であったり、角度によって目の色が違ったり、珍しい色の組み合わせであったり、伝説やらで信じられてきた目であったり…とりあえず稀少な目の色って感じだ。」
「あの…でもそれを言ったところで…僕の目の色はもう″緑″で確定しているんですが…」
「いいや、まだ確定したわけではない。ここから【覚醒】と言って目の色が変化する場合がある。」
「目の色が変化!?そんなの見たことないですよ!?本当の話してます!?」
「ほんとだよ」
そういって若菜摘が少年に顔を近づけ、自分の目の色を黄緑色から赤色に変化させる。
「わ、わぁ!!!」
「でも覚醒には個人差ってものがあってね。勿論出ない人もいる…というか覚醒の例はそんなに多いわけじゃない。だから1つ訂正。目の色の強さは覚醒時を含めの、元の目の色、赤、黄色と特殊、透明ってわけになるんだよ。」
「そうなんですね…でもそれが元々赤の目の人はどうなるんですか…?」
「はあ、なかなか勘が良いね。君。」
「え、あ、ありがとうございます!!」
「そう、元々赤の目の色の人は、覚醒しているのが通常時である人もいれば、赤色の目が元の目色で、その赤色のまま覚醒に入る人もいる。」
「う、うーん…難しい…」
「まあ別にここはそれぞれの好きな解釈でも良いかもね。面倒臭いし。」
「えぇ…」
「あとは赤い目と言っても彩度とか明度が決まったものであれば、赤色の中でも特に価値が高く強い!!とかもある。」
「あとはね、この目の色はこれに特化してるー!とかこういう能力!とかそういう決まったものもあるんだよ。」
「そうなんですね…なにも知らなかった…でも、その目の能力とかがわかるのって出会った人に目の能力を聞いたりするしかないですよね…」
「そんなことはないよ。ないんだけどね…」
「ないんだけど~…」
ここで棘のある一言を言わなくてはいけない。どうしよう…でも少年のためには言うしかない!!
そうなり俺たちは覚悟を決めて少年に現実を言うことにした
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