第2話
「あっつい、、、、、」
新宿ダンジョン。
そこは延々と続く灼熱の洞窟でした。
足元を埋め尽くす岩石の隙間から火の粉と蒸気が噴き出し、不快な湿気に満ちている。
そもそもダンジョンに入るためのライセンスが無かったのに、謎の機械で何かを測られた後、救助隊がどうのと言われて中に押し込まれたのだ。
ううむ、誰かと勘違いしたな。これ。
「ご主人!新しい目標を設定してくだサイ」
俺の周りを飛び回っているコイツはAIナビドローンだ。
新人の頃に自腹で買わされた機体でナビィと名付けた。
当時は「このブラック企業が!」と思ったが、今では良き相棒である。
「目標ったってなぁ。じゃ、世界一の配信者ってことで」
「ハイ!設定完了しまシタ!!!」
適当に答えただけだけど、まぁいいか。
配信を始めて暫くしてから、ナビィが誰かと喋り始めた。視聴者が現れたのかもしれない。
「33年前に突如として発生し、魔素をばら撒き、人類に特殊な能力を宿らせたダンジョンですが、現在でもその全貌は明らかになっていまセン」
質問に答えているのか。
「特にここ新宿ダンジョンは最古にして最難関と言われてオリ、、、」
あぁ、寝不足でしんどい。
ナビィ直伝の快眠法も最近では効きづらくなっている。
話は聞けるが内容が滑り落ちていく。
「暴走化とは、突発的に魔素濃度が高まることでモンスターが巨大化・狂暴化する現象デス。探索者の生命が著しく脅かされるため、原則立ち入り禁止になり、救助隊が編成サレ、、、」
凄く物騒な話をしている気がする。
が、もはやどうでもいい。
ウェルカム異世界転生。
というかダンジョン以前に、体がもう休めと悲鳴をあげ続けている。
寿命はゴリゴリ削れているに違いない。
ナビィに従って歩いていくと、汗だくの集団がこちらに向かって走ってきた。
俺が「こんにちは、暑いですねぇ」
と挨拶するも完全に無視。唖然としている様子だった。
よく見ると奥から炎を纏った巨大なトカゲみたいなヤツらが押し寄せてきている。
「暴走化フレイムリザードですネ。これまで通り全く問題ありまセン。ルートを辿ってくださいご主人」
俺はナビィに従って群れの中へ歩いていった。
「お、おい!白昼夢じゃないのか?アンタ死ぬぞ!逃げて!!!逃げ、、、、えぇ、、、、」
ダンジョンは謎に包まれている。
そう。謎と言えば、モンスターがおかしいのだ。
本気で襲ってこない。または襲ってきても、勢いよく魔石になってしまう。
例えばこんな感じに、、、。
「「「グェエエエエエエエエエエ!!!」」」
俺に飛び掛かってくるモンスターは必ず消し飛んでいく。
ワケが分からない。
俺の知らぬ間にダンジョンやモンスターは大きく変わってしまったらしい。
昔は死人が出たというニュースが定期的にやっていたくらい危険な場所だったはずなのだが。
にしても参ったな。
宣伝のために行ける所まで行く気ではいたけれど。
「これ、、、どこまで行けばいいんだろう?」
[コメントログ]
:フレイムリザードでっか!
:暴走化状態ってこんなんなるんや、、、
:通常時でさえ国際基準でBランクモンスターなんだが。それを群れで瞬殺て
:これニュースでやってる新宿ダンジョン?
:多分そう
:ヤバ。救助隊は何してんだよ
:さっき逃げてたパーティが救助隊
:なんで分かるの??
:アーマーが玄魔社製だった。あ、警察とかが使ってるヤツね。
:救助隊を救助してて草
:草生やしてる場合かよ。おっ、また一人助けたこのオッサン。現時点で何人救ってんだ?
:にしてもえげつないスピードで攻略してくなぁオイ
;しかも過去最悪レベルの暴走化中。単独で服装はワイシャツな?
:高難度ダンジョン中層でクールビズかよ。フェイク動画じゃね??
;助けられた人がSNSで呟き始めてるぞ、見てこい
;こりゃ祭りになるなぁ!ちょい拡散してくるー
:お前が拡散する必要ないわ
;ハァ???なんで?(泣)
:たった今ゆいちゃがこの生配信に反応した。100万人のフォロワーがなだれ込んでくるぞ!
;ふぇぇぇ
;で、、、このおじさんは一体何者なの?
;中古ドローン販売員。
;は?
;ミニモーターの派遣社員だってさ。
:それさすがに笑うわwwwえ、マジ???
[AIログ]
新たな目標【世界一の配信者】
目標達成のため小規模拡散戦略開始。
世界主要70ヵ国語対応のリアルタイム翻訳&字幕作成。
各種プラットフォームにてリンク付きショート動画複数展開。
TV各局へ動画素材を提供。
質問回答AI展開。
波及効果の高いインフルエンサー選定。
国内有名インフルエンサーへの波及。成功。
現在の視聴者数、、、1126432人。
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