第52話
迷宮都市ルナーツの他のダンジョンには寄らずに残りの日数は魔蟲の密林で修行をしていた。
特殊な矢を使わずに魔蟲の密林で現れるモンスターを倒していくには、放った矢の威力を上げるのか、それとも連射速度を上げるのかどちらかを選ばないといけない。
どちらを上げるにしても一朝一夕とはいかないのだが、それでも攻撃を命中させるのが難しい虫系モンスターの独特な動きに慣れる為にも僕たちは毎日、魔蟲の密林に通った。
威力を上げようとしても俺じゃあ魔力を放出することが出来ないせいで、矢に魔力を纏わせることも出来ない。
矢の連射速度に関しても矢自体を生成するアロースライムの問題も出て来ている。
そんな問題だらけのダンジョン探索だが帰るまでに成果を得られたのだが、それもリムやスライムたちのお陰だったりしている。
ボウスライムが僕が矢を放つ前に魔力を矢に纏わせると言うことをしたからだ。
これはリムからの提案で掛け合わせ召喚をしたせいかだから僕の成果とは言いづらい。
けれど、これで攻撃力の上昇もあって僕が放った矢の一撃で生命力が高い虫系モンスターを一撃で殺すことに成功する。
矢が着弾した結果、矢が命中した虫系モンスターは弾け飛んだのだ。
魔力を使えると言うだけでこれほど違うのだと理解してしまったが、手に持つボウスライムとスライムマジシャンを掛け合わせたスライムに魔力を送り、その魔力をスライムが纏わせたからこその一撃でもある。
掛け合わせスライムを経由しないといけないせいで一手遅れてしまうが、これで攻撃力のある矢の一撃を放てる様になった。
連射速度を上げる。こちらは今回の探索では上がらなかった。どうしても矢に変形するアロースライムからの受け取りやスライム自体の召喚など様々な要因のせいである。
これは残念だったが、これからは攻撃力の高い一撃を繰り出せる様になったのだから問題も少なくなっただろう。
そして今日は迷宮都市ルナーツの最後の滞在日。明日は領都のツリードに帰らないといけない。だからこそ、今日は成果を試す為にボスモンスターであるクイーンホーネットと戦いに向かった。
「集まって来るソルジャーホーネットはみんなに任せた。クイーンホーネットは僕とリムで倒すよ。」
『うん!マスターとボクの2人で倒すんだ!!』
今回は飛行系スライムを掛け合わせ召喚したスライムたちを引き連れて、僕たちはボス部屋の中に入って行く。
中央の巨大な蜂の巣がある巨木に移動した僕たちはクイーンホーネットが召喚されるのを待つ。
「まずは先制だよ!!」
周りからソルジャーホーネットの羽音が大量に聞こえる中で、僕は弓に変形しているスライムに魔力を渡して引き絞った魔力を纏う矢をクイーンホーネットへと放った。
空気を切り裂きながら矢は進んでクイーンホーネットの胴体を貫通していく。
クイーンホーネットの胴体には矢の大きさよりも大きな穴が出来上がる。
「ギィイイイイイイイイ!!!!!!!」
痛みで悶えながらクイーンホーネットは苦しそうに叫び声の様な声を流す。
胴体に穴が空いて暴れるクイーンホーネット。尻にある毒針から大量の毒液を撒き散らすせいで接近も困難になっているのだが、そんな毒液を躱してリムはクイーンホーネットに飛行しながら接近して行く。
『ファイアー!!!』
スライムドラゴンとファイアスライムの能力を使用した火属性のドラゴンブレスがクイーンホーネットの空いた傷痕を焼いていく。
更に体液を蒸発させるほどの威力を持つ火属性のドラゴンブレスが触れた場所は炭化を始めて行き、炎はクイーンホーネットの全身に回り始める。
炎上しながら墜落していくクイーンホーネットを狙って魔力を纏う矢を放つ。
変幻自在に動き回るからこそ命中させるのが難しいのだが、ただただ真っ直ぐに墜落するクイーンホーネットに命中させるのは簡単で、僕の放った矢はクイーンホーネットの頭部に風穴を空けるのだった。
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