第2話 お題「星月夜」「鏡」「救済」

 あの日は、とても明るい夜だった。

 留紺の中に、散りばめられた星の光がまばゆくて、満月のように明るい夜。

 その中で真皓く微笑む貴方は、まるで星そのものだった。

 私はあれからずっと、この夜空を見上げている。

 離れられないこの地上より、ずっと眺め続けている。


 定められていた星月夜。

 天と地のようにかけ離れたその中で

 鏡のように貴方と私は出会った。

 その日は朽ちることなく、私の中で永遠となった。


 私は、貴方という自由と生きたかった。

 魂の救済を求めていた。

 この地上を抜け出して、あの大空を延々と飛び回っていたい。

 両手を大きな翼と変えて。

 ただ、それだけが唯一の願いだった

 貴方があと数刻で、露と消えてしまうと分かっていても……。

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