02
「ここいいわね」「ここかな」
もう終わったはずなのにまた追われていた。
あの場所から私が消えたのだからあそこでいいはずなのにここにいる時点でそれしかない。
「うわーお、まさかきみとまた同じところで会えるとは思っていなかったよ」
「白々しいわね」
本当のところがわかったのにどうしてまだ来るのか。
一緒にいると私にとっての普通を押し付けたくなるから避けたかった。
だって好きにすればいいと言っておいてそれではあまりにも微妙だろう。
「はは、まさか僕が追ったとでも考えているの?」
「違うの?」
「正解っ、いやー伊波さんは僕のことをよくわかっているね!」
なんだそりゃ……。
呆れつつもお弁当箱を広げて食べ始めると「今日は体育もないから持ってきたよ」とお弁当箱を見せてくれた。
「え、奇麗ね」
「そんなに真っすぐに褒められると照れちゃうけどー」
「その反応を見るにあんたが作ったんでしょ? すごいじゃない」
今日に限って自作の物だからその差にやられそうになる。
根本的なスペックが違うというやつだろうか、勝てているとは考えていなかったから負けているのはいいとしてもなにも気にしないままで存在しておくのは無理だ。
初回と同じでところどころが焦げてしまっているとかではないのがまだ救いだと言えるけど……。
「普通だよ普通、あと伊波さんにはそれを繰り返されたくないな」
「無理よ、だってこれを見てよくいう子はいても悪く言う子はいないでしょ」
「うーん」
いややっぱり本人がこういうところを見せれば見せるほどなんでよと言いたくなってしまう。
みんながみんなお世辞を言うわけではない、中には本当に素晴らしく感じて褒めている人だっている。
だからそれを全ていっしょくたにして片付けてしまうのは本当にもったいない。
「あ、まだ岡田と一緒にいたんだ」
「そうね、よくわからないけどこの子が追ってくるのよ」
「岡田はなんでこの子を追うの?」
逆にこの子はどうしてこの前からこういうことを繰り返しているのか。
岡田のことで色々と言っている彼女だけど正直に言ってファンのようにしか見えない。
他の誰よりも岡田のことを意識して行動しているのだから大間違いでもないはずだ。
「それは運命の相手だからかな、きゃっ」
「梅雨前でも十分暑いからおかしくなってしまったのかもしれないね。私がなんとかしてあげるから困ったら言ってよ」
「まあ、そのときがきたら頼らせてもらうわ」
梅雨か、雨が降り続ける毎日になればこうして出ていくこともできなくなるのか。
結局教室でじっとしていない私にとって外が駄目となると校舎内でいいところを探さなければならない。
開放されている空き教室は地味に人気だったりするから……屋上前の空間ぐらいだろうか。
「伊波さん」
「なに? あ、一応聞いておくけど校舎内でどこかいい場所を知らない?」
「それなら伊波さんがいてくれるから二組の教室かな」
「ほとんどいないじゃない」
授業の時間は当たり前だけど一緒にいられないのだから彼女からすればほとんどではなく全くいないと言ってもいいぐらいかもしれなかった。
「あれ? そういえばあの子って僕にとっての理想の存在なんじゃ……?」
「そうね、よく言ったりしないものね」
「ちょっといってくる!」
よし、これで自然な形で離れることができる。
そう時間も経過していないのに久しぶりに一人で休めた感じがした、ある程度までは一人でゆっくりして教室に戻ったけど。
放課後になったら雨が降ってきたからすぐに帰ろうとしたのに何故かまたあの子が来て無理になった。
「岡田を止めてほしいの」
「それをすることのメリットは?」
「私の友達を紹介できるよ」
「それなら友達が可哀想だからあん――動いたらあなたが友達になってよ」
頼む側でもあるからあんたは不味いということで慌てて変えておいた。
彼女は文句を言ってきたりすることもなく「いいよ、いま校門のところで岡田に待ってもらっている状態だからよろしくね」と言ってここから去る。
それならあまり待たせてしまっても可哀想だから荷物をまとめて校門まで急ぐと確かに岡田がいた。
「くふふ、作戦成功だ」
「は、はあ? あんたからすれば理想のあの子が来なくて残念がるところでしょうが」
「ううん、だって少し見れば来てくれるかどうかはわかるよ、それであの子は明らかにいくつもりもないのに誘ってきていたからね」
「それなのになんで待つのよ……」
無駄な時間になるとか……思わないんでしょうね。
そうやってすぐに片付けてしまう子ならこうはなっていない、すぐに私は一人になってまたお気に入りのスポットを増やすために捜し歩いているところだろう。
「あの子なら伊波さんに頼むと思ったからね、そして僕は自然な形で伊波さんといられるんだから得なことしかないよ」
「そうですか……」
はいいけどこれってどうなのか。
あの子的には動いたことにはなるものの、解決には繋がっていないからやっぱり友達の件はなしだろうか?
まあ、この子がまだ来るなら同時にもう一人の子と~というのは厳しいからない方がいいかと片付ける。
「はぁ、岡田は相変わらず手強いね」
「「あ、来た」」
「伊波のためだよ、この子は私のために動いてくれたからね。あと、これからは私、伊波の友達だからそのつもりでね」
あ、なかったことにはなっていないらしい。
でも、これも岡田が関係しているからか、私単体だったら「動いてくれたけど結果が駄目だからおしまいだね」とか言ってきていたはず。
「え」
「はは、伊波から友達になってほしいって言ってきたんだよ? そこが勝手に何回も近づく岡田とは全く違うよね」
「ぐはあ!?」
「はははっ、あー面白い!」
た、楽しそうね、あと岡田も大袈裟すぎる。
「そこらへんでやめてあげて」
「うん、伊波がそう言うなら。ということで伊波もそのつもりでいてね。あ、一応岡田もね」
「うん、よろしく」
それで結局去っていくと。
こそこそとどこかから見られるぐらいなら一緒のところにいて普通に参加してもらいたかった。
「いいんだ、他に友達がいる状態で優先してくれたら嬉しいからね」
「あんたさ、何回褒めたら駄目にるの?」
「五十回かな」
緩いような厳しいような、いやこれからのことを考えれば厳しいか。
やっぱり切られる未来しか想像できないから引き続きいいところ探しをしようと決めた。
六月になったのに雨が降らない。
さっさと被害が出ないレベルで降って七月前には終わってくれるといいのにこれだと滲み出そうだ。
「伊波、背中からなにか出ているよ」
「最近は七月まで響く梅雨ばかりじゃない? だから梅雨にちゃんと降ってほしいのよ
「私は雨が好きじゃないからありがたいけどね」
「でも、後回しにしているだけよ? 苦手だからこそ早く終わってほしいでしょ」
「ま、私はずっとそういうというだけだから」
「晴れているから付き合ってよ」
「放課後ならいいわよ」
「じゃあ伊波の家にいきたい」
「わかった、じゃあ約束ね」
お客さんが来るならなにか買っていかないといけないか。
岡田も付いてくる可能性があるから尚更なにか用意しなければならない。
女の子が好むのは甘い物――というのも偏見だろうか? 結局それは個人個人で違うから聞けばいいか。
「お菓子ならなにが好き?」
「あ、そういうのはいいから、いきたがっているのを受け入れてくれたんだから連れていってくれればそれでいいよ」
「そういうわけにもいかないでしょ」
仕方がない、岡田に聞くか。
窓の外を見つめる時間も終わりにして今回は探すために動き始めた。
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