第一章 最強になりましたが何か文句でも?

第1話

 僕の名前はライ。

元の名は桐生きりゅう雷人らいとだ。

僕はとある事件を経てこの異世界に転移してしまった。

クラスの人たちも同じように転移してきている。

他クラス,ましてや他校の人たちもだ。

そして今,僕たち聖騎士団 は魔王討伐に向けて魔王が支配する魔王領を進んでいる。


『あおいくん大丈夫かな…。』



時は20xx年,ユートゥリッツァ大陸の西側に位置するセントラル王国にて大規模な勇者召喚が行われた。

それにより,並行世界である地球から約300万人もの高校生が転移させられた。

勇者たちは国土面積の問題からセントラル王国だけでなくウルシャ大国やベルゼ王国,カラエト王国といったユートゥリッツァ大陸の様々な国に全員転移させられた。

…はずだった。

あまりにも大規模な魔法を使用したため,転移中にバグが生じてしまったのだ。


それにより…


俺,野村あおいは変な場所に転移させられた。


「スゥー…。」


だめだ。

焦ってはいけない。

落ち着け自分。

現状を把握して整理 しょう。


まず景色!

とてもと言っていいほど穏やかな平原。

見えるものは…。

強そうな生物。

なんだあれ。

熊みたいな顔してるのにウサギみたいなツノ生えてる。

しかも蛇みたいな形した尻尾もあるんだけど…。


「待てよ…。」


とりあえず手持ちの確認をしよう。

とても大切なことだ。

そして持ち物は!

………なにもない。

そもそも俺の学校のバッグすら無い。


「嘘ダァ!!」


「ガァ?」


あ,やらかした。

そう思うが,時すでに遅し。

こちらに気づいた魔物が俺に向けて何かを放つ。

これ絶対魔法だよね。

だって魔法陣出てたもん。

別俺が厨二病拗らせてるわけじゃないからね!?

それよりも今はどうにかしないと!

そう思う時にはもう目の前に魔法が迫っていた。

あ,詰んだ。


『拝啓,お父さんお母さんへ。

短い人生でしたが楽しかったです。

俺を産んでくれてありがとうございました。』


よし,これで遺言の心配もないね!

そう思い,俺は目を閉じた。

生き残れるなど元から思っていなかった。

だがその瞬間,目の前で何か重たいものが倒れたような音がする。

恐る恐る目を開けてみると…


「其方,少しばかり面白い体をしておる。どうじゃ。妾についてくる気はないか?」


そう言う少女。


絶句しました。


なぜならその少女はあまりにも


「綺麗。」だったから。

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