第2話 え?!ママのことが本気で好きなの?
学校の帰り道。
リコちゃんが弾む声で言った。
「今日はね、リコの誕生日なの! 回るお寿司に行きたいって言ったら、行くことになったんだ。楽しみ~」
「ええ? いいなあ。回るお寿司、行ったことないよ」
「ミミちゃんちってヘルシーライフだからね。外でご飯しないんでしょ?」
「うん。ママがヘルシーメニューで夕食を作ってくれる」
「いいじゃない」
「よくないよ。私だって回るお寿司行きたい」
「でも……ママのこと、好きなんでしょ?」
「えっ?!」
「リコはママがだーい好き! 一生一緒に暮らしたいよ」
……えええ?!
リコちゃんって、本気でママのこと好きなの?
この世に「ママが好き」って人がいるなんて、信じられない。
その言葉は、わたしにとって大きなしょうげきだった。
だまってだまって、小石をけとばした。
──私は、はっきり言ってママが嫌い。
家の食卓に並ぶのは、無農薬の雑穀米と無農薬野菜、天然物の小魚だけ。
テレビもない。
ゲームもない。
漫画もない。
代わりに、図書館で山ほど借りた本を「勉強が終わったら読め」と押しつけられる。
友だちの会話しようにも共通の話題が無いという辛さを、ママは理解しない。
誕生日プレゼントが日記帳ってところで、ママの異常さが分かるでしょう。
普通はゲームソフトとかだよね。
パパは仕事で帰ってこない。
学校から帰って、次の日の朝に学校へ行くまでの時間──
私はずっとママの支配下にいる。
でも、リコちゃんに話しても……きっと分かってもらえない。
【日記】6月28日 くもり
今日はリコちゃんと話した。
リコちゃんは今日が誕生日。
ママたちは同じ産院で、一日違いで生まれたふたりが仲良しになるよう願っていたらしい。
その願い通りに、私とリコちゃんは親友になった。
リコちゃんは回るお寿司でお祝いしてもらうんだって。
……ミミも行ってみたいなあ。
次の更新予定
2025年12月19日 12:12
ミミちゃんの嘘つき日記 さとちゃんペッ! @aikohohoho
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