無理やり☆ことわざ そうかもね♪♪慣用句 ③

 話は変わって、前のマンションに住んでいたときのことです。


 わたしは、夕飯の買い物でスーパーへ向かっていました。そこは四階建ての、わりと大きなスーパーでした。

 わたしは近いので歩いて向かっていましたが、何人も、同じスーパーへ向かうであろう自転車に乗った人や山盛りの荷物を前後に積んだ自転車を押す人などとすれ違います。そんな方たちを横目に歩いていくと、見えてきた目的のスーパー。


 よくスーパーの前には、たくさんの自転車が止められていますよね。

 そのスーパーも例に漏れず、建物の周りをぐるりと自転車で囲まれています。


 あ。


 ガチャン。

 ずらりと止められていた自転車が向こうからこちらの方へ倒れてきました。


 ガチャン。ガチャン。

 ガチャンガチャンガチャンガチャンガチャンガチャン――。


 きれいに並べれば並べるほど、ひとつが倒れるとその隣、そしてその隣、またその隣へと、ドミノ倒しのように次から次、見事にきれいに途中で止まることなく倒れていくものなのですね。


 蜘蛛くもの子を散らす】

〖大勢のものが四方八方しほうはっぽう、散りぢりに逃げていくさまを言います。

 本物のクモの子が散っているところなんて想像するだけでオ、オオオソロシイ…〗

                    

 あーあ。


 気功の力かカ〇ハメ波か、ハッとか言って手をかざしただけで倒れていく弟子のような自転車。どこまでも倒れていく。それを呆然ぼうぜんとした表情で見つめている初めの一打を放ってしまったと思われる奥さん。

 そして、ついに最後の自転車。もうその隣には自転車はない。それが倒れれば終わりです。買い物袋をさげた観客ギャラリーは、クライマックスに向けて固唾かたずんで見守っていることでしょう。


 ガチャン。


 はい! 最後! 倒れた――と思った次の瞬間、その横にある数段の階段をおりた何もない所で、偶然そこにいたおじいさんがなぜかポテンとこけた。


 そこでフィニッシュ。それが、トゥルーエンド。


 おじいさんは何事もなかったかのようにすぐスッと立ち上がり、わたしたちも心のなかでスタンディングオベーション。たぶん。


 ――そしてそのあと、みんなで倒れた自転車を元に戻しました。


【飛んで火にる夏の虫】

〖明るさにつられて火に寄ってきた夏の虫は焼け死んでしまうことから、気づかず自ら災いに向かって飛び込むことをたとえた言葉です。

“夏の虫”とはの一種“ヒトリガ”だとされています。“火取蛾”“火盗蛾”などと書かれることもあり、夜行性の虫のなかでも特に火に向かう習性が強いそうです。

 走りだしたら止まらない? 髪形はきっとリーゼント。イエーイ〗




 今回、虫にまつわることわざを調べていると、世界各国のことわざにも目がいき、なかでも意味は同じだけど日本とは違う言葉のチョイスに驚かされました。日本のこのことわざがこの国ではこう言われているのかと、なんだか不思議でとても面白かったです。たとえば、わずかな元手や労力で大きな利益を得るという意味の『海老えびたいを釣る』は、ドイツでは『ベーコンを求めてソーセージを投げる』らしいです。お国柄がでますね。


 それではみなさん、今日もよいこじつけを~。

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虫の耳に念仏 千千 @rinosensqou

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