食料
これは、子供の頃に亡くなったお爺さんから聞いた話です。
昔は、食料が無くて、海や山で狩りや山菜を取って生活していたと
聞きました。
毒があるかもしれないし、取り合いがあって、まともに食事が出来ないなんて、
当たり前だったと。
そうなってくると盗みをする人も出てきました。
生き残る為に必死だったので、解らない話では、ありません。
でも、悪い事には変わりありません。
ある日、数人の友達が、墓のお供え物を食べようと言い始めたそうです。
「流石にそれは・・・」と言ったそうですが、友達の一人が、馬車に乗った
人を指で指して
「奴らは、あんなに健康な顔してる。それは、何故か。俺達が、畑を耕して、
野菜や米を育てて、売った物や没収した物を食べているからだ。
それも、安い値を付けて買う。少しでも値を上げてくれと言うと嫌味を言って、
俺達を下に見てくる・・・それなのに、俺達が本当に困ってる時は、何もして
くれない。誰かが、死んでも知らん顔で生きてる。だったら、奴らがお供え物
した物を食べても罰(ばち)は当たらないさ」
「言いたい事は・・・」そこまで言って辞めたそうです。
理由は、発言した人の子供が餓死で亡くなったからだ・・・
周りもそれが解っていたので、反論をせずに考えていました。
「どうする?何もせずに餓死する道を選ぶか?」
すると隣の奴が
「解った・・・やろう」と言って、周りも首を縦に振ったそうです。
決行は、今日の夜になったそうです。
墓場に着くと予(あらかじ)め決めていた作戦をやったそうです。
3人は、周囲を警戒して、1人は、食べ物を1個取って帰って、交代で行くと
いうものでした。
理由は、2つあって
1つ目は、1個なら、見つかっても走って逃げやすい。
2つ目は、個人の狙いがあるからです。
最初は、お爺さんが行ったそうです。
見つけたのは、大福でした。
お爺さんは、取る前に、両手を合わせて
「すいません、すいません、すいません」と何度も謝ってから取って
帰ったそうです。
次の人と交代して、見張りをしてると案外早く帰ってきて、交代して、
次の人が行ったそうです。
3人目が帰って来て、最後の人が行って、暫くすると
「貴様!何をしてる!」
と聞こえました。
声がする方を見ると顔や服装は見えないが、体格がいい人が2人居ました。
お爺さん達は、一斉に逃げました。
逃げて時に、後から集まる為に決めていた場所に行くと1人来ませんでした。
3人は、朝まで待ちましたが、来ませんでした。
昼頃になると友達の一人が血相を変えて来たそうです。
内容は、捕まった奴が、河川敷で丸太に縛られている説明されました。
河川敷に行くと人だかりが出来ていて、警官が丸太の横に立っていたそうです。
友達は、顔は腫れて、血を流していたそうです。
友達は、俺達を見ると
「死んだ人間よりも今を生きてる人間が必死になって、何が悪い!」
と叫んだそうです。
現代に生きる私でも、何とも言えない叫びだと思いました。
当時聞いた人は、もっと悲痛な叫び聞こえたと思います。
叫び終わると隣にいた警官が警棒で殴ったそうです。
すると友達は、糸が切れた人形みたいになって止まったそうです。
それを見たお爺さんは、その場から逃げたそうです。
お爺さんは、あの日のことを忘れる為に必死に畑を耕して、狩りとか
をして忘れるようにしたそうです。
そんなある日、南瓜を食べた時に甘いと感じないで、何か柔らかい物を食べてる
と感じるようになったそうです。
腐った南瓜でも食べたか?と思ったそうです。
次の日は、サツマイモを焼いて食べた時も、南瓜と同じでした。
そんな日を続くと夢で、ご馳走が並んでいるけど、動けないで、
見てるだけの夢を何日を見るようになったそうです。
盗みに入ってから、1年が過ぎた時に、盗みに入った友達と話している時に、
1年近く、同じ夢を見ると言ったそうです。
内容は、お爺さんと同じだったそうです。
そして、甘いと感じないと言ったそうです。
お爺さんは、自分もそうだと言うと
「一番嫌なのは、なんか、枕元に誰かがいる感覚で起きてさ・・・」
と言うともぅ一人の友達も俺もそうだ。と言ったそうです。
お爺さんは、自分はないと言ったそうです。
友達達は、いいなと言ったそうです。
でもお爺さんは、その日の夜から、枕元に誰かいると思って2,3日
眠れなかったそうです。
それから、数十年経つと経済が安定して食べ物が普及して、道や建物も
新しくなって、車が走るようになったそうです。
それでも、お爺さんは、畑を耕して、お金を稼いだそうです。
そこまで聞いて、友達達は、どうなったの?と質問すると
「死んだよ・・・交通事故で」
聞けば運が悪かったとしか言えないそうです。
ただ、不自然点があって、死んだ2人の前には、大福や果物があったそうです。
そこは、食品を扱ってる店も無くて、夜中だったので、人も少なくて、そこに
食べ物があることが変だったそうです。
それを知ったお爺さんは、更に畑を広げて、野菜や果物を作るようにしたそうです。
理由は、罪滅ぼしと言ってました。
私は、お爺さんが、亡くなる前に質問をしました。
「今でも甘いって感じないの?」
「あぁ、感じない・・・」
と返答されました。
私は、墓参りをする時は、毎回大福を4つ置くことにしてます。
理由は、あの世で今は、こんなに食料があると4人に伝える為です。
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