第十肆夜 揚げ物丼
(な……なんで……)
私。竹内花子は朝から最悪な出来事に見舞われている。
(なんでこいつが一緒の電車に乗ってんのよっっっ!!)
「いや〜!奇遇だねぇ!こんな朝早くから出勤なんて、もしかして?仕事が?まだ終わってないとかかなぁ?」
そう。いつもは絶対遭遇しないはずのこいつ。西澤晴哉。
今日はダイエットついでに早く出勤しようと思っていつもより早い電車に乗ったらこのザマよ!!
「仕事が終わってないなら僕が手伝ってあげるのにな〜!そ、れ、よ、り!聞いてくれよ!昨日新しい車を購入してね!早速乗ってみたんだけど、これが乗り心地が最高だの!なんなの!いや〜!誰かを乗せてドライブにでもいきたいね〜!」
勝手にやってろよ!!
と、心の中で思いながらイライラしていると、意外にも早く目的の駅へと到着した。
「あっ。着いた。あの〜……晴哉さん?着きましたよ?おーい?」
「どこまでドライブしたかって言うと実は愛知まで!結構遠いと思ったけど、新しい車!速い速い!これがもう一瞬だったのさ!いつか女の子たちを連れてどこか海が綺麗な場所か星が綺麗な場所まで運転して連れて行ってあげたいもんだよ〜!」
なんかずっと喋ってるし、いいか。私の声聞こえてなさそうだし。
と、私はペラペラと喋る晴哉を置いて電車を出た。
プシュー!
「ってわけなんだよ!てことで!花子ちゃん!僕と一緒にドライブでも………あれ?花子ちゃん?花子ちゃん!?えっ?!あれ?!は、発進してる?!ちょ、ちょ、ちょま!!」
そのまま晴哉を乗せた電車は次の駅まで走って行った。
____________________________________________________
「お疲れ様でした〜」
今日も一仕事を終え、私は退勤する。
「はぁ……帰ったら資料整備とかしなきゃ……やっぱり会社でやればよかったかしら〜……まぁ、いいや。家の方がやる気出るし!」
座り仕事で疲れた体を伸ばし、会社を後にした。
「あ!いたいた!花子ちゃんひどいじゃないか!!」
後にするはずだった。
こいつが玄関の前で待っていた。
「あ!お疲れ様です〜。」
「ちょっと待ちたまえ!」
早歩きで帰ろうとする私におんなじスピードで着いてくる。
「なんで今日の朝到着したこと僕に教えなかったのさ!!君のおかげで遅れるところだったんだぞ!?」
は?話しかけたが?お前が虚空に向かって楽しそうに話してたから気付がなかっただけだろ??
「すみません!晴哉先輩のことだから気付いてるんじゃないかと思ってました〜!」
「何言ってるんだ!さすがの僕でも気付く気付かないはあるよ!!全く……一体誰がこんなひどい子に育てたんだ………」
あんただよクソセクハラ自慢野郎。
「あはは……」
「てことで!僕今からストレス発散に飲みに行こうと思ってるんだけど、くるよね?!」
と、晴哉が目の前にずいっと現れた。
「えっ?!い、いや……わ、私帰ってやらなきゃいけないことがあるので……」
と、避けて進もうとしたが……
「やらなきゃいけないことぉ?いつも暇そうな君にそんなことありえるわけないだろ?さぁ、僕と一緒に行こうよ!!」
と、また塞がって来た。
「は……いや、本当にやらなきゃいけないことがあるのでそれでは!!」
私は晴哉の横にバッと抜け、駅まで走る。
しかし、その瞬間腕をバッと掴まれた。
「キャっ!!な、何するんですか!!」
「なんなんだ君は!!育てた僕に恩てものはないのか?!少しくらいいいじゃないかっ!!」
晴哉は至近距離で私に怒鳴って来た。
私のイライラは限界に来ていた。私はキッと力強く晴哉を睨み、
「……ってぇな!!離せよ!!」
と、金的を食らわせた。
「ふごぉお?!!?!??」
晴哉は手を離し、青ざめた顔でその場にへたり込んだ。
「ッ……!!」
私は倒れた晴哉を睨み、その場を後にした。
__________________________________________________
「キイイイイイイ!!なんなのよ!あいつ!!」
私は自分のパソコンで資料整理をやりながら、今日の晴哉を思い出し頭を掻きむしる。
「本当になんなの?!結構力強く握ってきたし!!めっちゃ近くで怒鳴るし!!あと、電車で私声かけたっての!!あぁぁぁぁぁ!!ムカつくッッ!!」
私はリビングの机に何度も台パンしながら机に突っ伏した。
「昔はあんな人じゃなかったのに……」
そう言った私の目には少し涙が浮かんでいた。
「いや、いいの。いいの。あいつはあいつなんだから!!よし!仕事再開!!」
と、私は再びパソコンに向かおうとする……が
ぐううううう……
「うぅ……お腹空いてきた……」
作業していて全く気づかなかったがすでに深夜の0時になっていた。
「結構集中してたのね……確かかなり前に買ったおかずとかまだあるはず……」
私はそういいなが冷蔵庫へと移動した。
「う〜ん……唐揚げに、ちくわの磯辺揚げ……コロッケ、骨なしフライドチキン……揚げ物ばっかね……」
揚げ物買い溜めすぎでしょ……私。
「えぇ……今日は揚げ物の気分じゃないのに……うん?」
私はラップに包まれたどんぶりを冷蔵庫の端に発見した。
「これ……あっ。お米……………よし。揚げ物丼にしましょう。」
と、私はどんぶりを手に取り、ラップを剥がした後残っていた揚げ物たちをどんぶりの上に乗せる。
「あとはあっためるだけ……よし。この間に仕事終わらせちゃいましょ。」
と、私は再びパソコンに向かった。
┈┈┈2分後┈┈┈
チンっ!
心地よい音が私の部屋中に響いた。
「おっ。できたできた〜!」
私は手を擦り合わせ、レンジを開けに行った。
「ぱかっ!お〜!!油の匂いが一気に押し寄せて来たー!」
そうして私の視界には揚げ物が乗った、素晴らしいどんぶりが映し出される。
「キタキター!揚げ物丼!!うひょ〜!頭悪い!」
私はそう言いながらどんぶりをパソコンが置いてある机まで持って行った。
「う〜〜〜ん!我慢できない!さっさと腹の虫を抑えるわよ!!いただきます!!じゃあまずは唐揚げから!」
そう言って私は唐揚げを一つ取り、口の中へ運ぶ。
「むほおおおおお!温めただけなのにサクってしてるし、中の鳥はジューシー!!まるでお店の唐揚げみたいよ!!スーパーの唐揚げはさすがね!!」
私はそのまま唐揚げをサクっサクっと頬張る。
「次は〜……磯辺揚げね!!いただきま〜す!!」
私は今度は磯辺揚げを口に運ぶ。
「んんん!なんだか懐かしみを感じる味よ!!まるで昔おばあちゃん家で食べたかのような感覚!これよ、これ!!やっぱり磯辺揚げは懐かしさを感じてちくわの柔らかい食感と衣のサクサク感を感じるのが最高よね!!」
私は磯辺揚げを頬張りながら存在しない日本での思い出を思い出す(?)
「お次はコロッケ!!あーむ!!おおぉぉぉ!ザグッ!ザグッ!衣が力強くしっかりした味付けで舌を刺激してくるわ〜!!そしてその下に隠れていた牛肉のそぼろとホロホロになったジャガイモ!!この二つが衣としっかり交わって揚げ物としての味をしっかり確立してるわ〜!!」
私はコロッケの断面を見つつ美味しそうに頬張る。
「……お米に合わなそうな揚げ物と言えばこいつ……フライドチキン!!さぁ、どうかしら!!お米に合うかどうか私が食べてあげるわ!!いただきます!!」
そして私は一口齧る。
その瞬間鳥の匂いが染み付いた油が口内にジュワッと広がる
「うおおおお?!これ!誰よお米に合わないって言ったやつ!!絶対お米に合うわよ!!この油!!衣!!全てに鳥の匂いが染み付いて鼻を奮い立たせてくれる!!そして味よ!!衣にしっかり味が付いてるから鶏肉にはあんまり味はないけど、このマッチこそがお米を食べることを促進してくるじゃない!!」
そして私はお米をガツガツと流し込む。
「ほほほほほほほ!やっぱり!!合うわよ!!鳥の風味がお米がまるで味付けされているかのような感覚にさせてくれる!!進む!!進むわよ!!ご飯が!!」
私はそのまま他の揚げ物もサクっ!ジュワッといい音を奏でながら、恍惚の表情を浮かべ、食べきった。
「はぁー!食べた!食べたわ!美味しかったー!!」
と、私は満腹になった腹を撫でる。
「はぁ……満腹になるとあいつのことなんてどうでも良くなるわね……」
と、私は今日の1日を脳内で振り返った。
その瞬間、私は笑顔から真顔になる。
「………私も悪いことしちゃったかしら………明日謝りましょ。」
と、私はそんなことを思いながら床についた……
_________________________________________________________
(あいつ……いるかしら。)
私は会社を遠目で見つめる。
すると何やら時計を確認している晴哉がそこにいた。
(……なんて言われるかしら。無視?ブチギレ?)
と、私は色んな晴哉を想像する。
(まぁ……どんなこと言われようと、私を育ててくれた人だし、しっかり謝らなきゃ……)
と、私は晴哉に近づく。
「あ、あの……晴哉先輩。」
「……ん?」
晴哉は私の呼び声に時計を見るをやめてこちらを見る。
「あ、あの……昨日は────」
と、言いかけた瞬間。
「なになに〜?!話しかけてくるの珍しいじゃん!!どうしたの?!やっぱり僕に気があるのかい?!それとも僕と飲みに行ってくれるのかなぁ?!」
「……は?」
私は正直拍子抜けだった。昨日の反応からするにブチギレか無視をしてくると思ったが、なぜか、いつもの晴哉に戻っていた。
「なんだいなんだい!やっぱり、気があるんじゃないか!!うんうん!そうだよな!元といえ、教育してやった身だ!気がないわけがない!いや!絶対ある!」
と、何やら自信満々の表情で言って来た。
その姿に私はフツフツと怒りが湧いて来た。
「な、なんでもありません……失礼します……」
と、私は少しイラつきながら会社へと入った。
「おぉ?なんだよぉ〜!思わせぶり回かい?!君らしいねぇ!そんなとこも可愛いよ!!」
なんか言ってラァ……
「あっ!花子先輩!!おはようございます!」
と、左から樹奈子ちゃんが近づいてきた。
「あら。樹奈子ちゃん。おはよう。」
「おはようございます!!……誰っすかこの人」
と、樹奈子ちゃんが晴哉を睨む。
「ひっ……!じゃ、じゃあ!花子ちゃん!また後で!」
と、晴哉はそそくさと逃げて行った。
「ふぅ……ありがとう樹奈子ちゃん。」
「えっ?何がですか?」
「ううん……なんでもないわ。さっ。行きましょう。」
樹奈子ちゃんは不思議な顔をしながらオフィスに向かう私について来た。
(まぁ……あいつの機嫌。損ねてなくてよかったわ。)
と、少しにっこりする私だった。
【あとがき】
え〜。この度は投稿が遅れて申し訳ございませんでした!!
実はTRPGにどっぷりとハマってしまって……投稿がアルファポリスの方も止まっている状態でした……すみませんでした!!
これからも頑張りますのでよろしくお願いします!!本当に!!
面白かったら応援よろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます