機織 雪菜は雪だるまではない

 ある日、いつものように一人で学校に向かっている途中、事件は起こった。

 私のことを、真顔でにらみつける女子と、にっこり怖い笑顔の女子。

 前の学校にいて、いつも誰かはいじめているいじめっ子達とそっくりだった。

 勇気を出して話しかけて見たら、なぜか嫌われた。


 篠川蘭々しのかわらら

 背が高くて美少女、文武両道に見える容姿、賢そうな女子。


 神田瑛流かんだてるる

 そんな可愛い名前で2つ結びのずる賢い妹系女子。


 ももちゃんから聞いた後、何人かに「篠川さんと神田さんてどんな人?」と聞いてみた。

 すると、好きな人、嫌いな人、性格、学力など。いろいろなことが分かったのだが。

 どちらも「ナカガワさん」という人が嫌いらしい。

 ももちゃんの事か、それとも違う人のことかは分からない。(だって「中河さん」河かもしれないし、「仲川さん」かもしれないからね。いるかは知らないけれど。)


後はみんな、口をそろえて「美少女だ」と言っていた。なかには、

「雪ちゃんがもし転校してこなかったら、多分1番可愛いんじゃないかな」とかいっていた。


どうなることやら。


ももちゃんはめんどくさがり屋さんだからなぁ。

なんか、「ストーカー?」って言われそうだけど。


まあ、コソコソ何か言われるのが好きな人はいないでしょう。


***


「で、今日も聞き取り調査をしていたと」

「ハイ、スミマセンデシタ」

「もも、やめてあげな。雪ちゃんが溶けちゃうから」

機織雪菜はたおりゆきなは雪だるまではない。溶ける心配はないので怒ってる」

「こ、これはももちゃんのことを思って、、、」


はぁ。

現在、教室で雪菜ちゃんを説教中。

何でこんなめんどくさいことになったのやら。元はといえばわたしのせいだけど。


「あのねぇ。あの子たちは情報通なの。だからあんまりそういうことはしないでほしい。あと、あなたストーカー?」

「あ、言われると思った。」

「言われると思ったならそういうことしないの。全くもう」

「いや本当にすいませんでしたぁー!」


篠川さんと神田さん、情報網があって、油断してるとあっという間に標的にされる。実際昔もそうだった。

嗚呼、この世の中は、本当にめんどくさいことだ。


「『ナカガワさん』てももちゃんの事だよね。で、ももちゃんは気にしてないの?」

「うん。ももは多分、気にもとめていないわね。小学生の時にあのグループにいじめられたときも気にしていなかったし。私もあいつらは放って置くし。」

代わりに糸兎が答える。全くその通り。私は何にも気にしていない。


「めんどくさいことには関わらないの。」

「だからももはリーダー経験ナシ!」

「めんどくさがり屋のTHE、ニート!」

「足の超遅い桃太郎!」

途中からディスられてるし。

私、糸兎、衣くん、茶太郎の順だ。

「糸兎?衣くん?茶太郎?」

怒りが沸々とわき上がってくるなぁ。ちょっとこれは止められないなぁ。

「あ、まずい。」


「逃げても無駄だからね?」


と、言いつつも追いかけなかった、めんどくさがり屋の桃太郎だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る