第7章 戦士の帰還

風磨は倒された…。

妖狐の里の唯一の戦士によって。


颯真が爆散する数分前…。


泉水たちのいる社に静江が来た。

静流!

無事だったですね!


話しはあとじゃ!!

今から防御の陣を張る術の使える者は…。

スッ…。

私が手伝いましょう

白夜…さま…か?


はい、白夜ですが…そなたは?


すまぬ!!

ことが済んだら説明するゆえ手を貸して

いただけるか?

防御の陣を展開すれば良いのですね?


そうじゃ…里を囲めるぐらいのを!!


わかりました…。

白夜と静江は地に手をつき術を発動させた。

「大地の神よ…龍神よ我らにチカラを!!」

間に合うか!?


ドオ〜ン…。


爆発の音が聞こえた…。


来るぞ!!

衝撃と揺れに備えよ!!


バリバリバリバリ…。

ゴゴゴゴゴゴ…。

グラグラ…。

きゃああ!!

怖いよぉ~!!


おさまったか?

(2人の気配が消えた…水藻…ダメだったか)


バッ!


眞白!未來!

里の被害の確認を!!

泉水は子供たちを

は、はい!

はいです


説明を聞きましょうか…静江殿…。

わかっていらしたか…。

あれから数百年経つが…水藻様の件…。

申し訳なかった…私を庇ったばかりに…。

もう…済んだことです…。

私共の方こそ申し訳ありませんでした。


白夜さま…。


静江は里の皆に風磨との戦いの終結が先ほどの爆発であること…。

颯真がその爆発を起こしたことを説明した。


ちょっと待つです…。

その爆発を颯真がという事は…。

颯真はどうなったです?


わからぬ…。

わかっている事は爆発のあと2人の気配が消えた事ぐらいじゃ…。

それはソナタらも感じたであろう?

水藻が戻れば何かわかるやも知れぬが…。


そう言えば…颯真の声が聞こえた気がしたです…。


颯真の?


“泉水…すまない…。”


そう聞こえたです…。



いやぁ、参った参った…。

戻ったか水藻…。

あやつめ…無茶苦茶しおってギリギリだったわい…。

無事なのか?

見ての通りピンピンしとる!

バシッ!!

戯け!!貴様では無いわ!!

颯真は無事かと聞いておるのじゃ!


それがのぉ…解せぬのだ…。

何がじゃ?

あの爆発の前に…颯真の気配が消えていたような気がしてな…。


どういう事じゃ?

いや、わからぬ…。


はぁ…。

相変わらずですね…水藻さま。

おぉ?白夜…久しいの!

少し老けたか?ははは!


……。


久しぶりにあった挨拶がそれですか!

あなたはお変わりなく良うございましたね!!


戯け者!!

おまえが居なくなって白夜さまがどんな思いだったか考えぬのか!?

呆れて何も言えぬ!!


び、白夜殿ぉ〜〜!!



すまぬな…泉水どの…何の情報も…。

大丈夫です…。

ウチは…無事だと…信じてるです…。


おかあさん…知らないおじちゃんと白夜おばちゃんがケンカしてるよ?

あらあら…。

それとね〜。


果那ごめんね~あとにしてくれる…?


うん…でも…颯真おじちゃんが…。

颯真がどうしたの?

必ず戻るからって…。

いつ言ってたの?

んとね…さっき果那に言ってたの。


“この娘…特別なチカラをもっておるのか?”


泉水さん…ごめんね果那が変な事を…。


いや、あながち嘘ではないかもしれんぞ?

この娘の言う事を信じてみるのも良いかも知れんな。


そうですね…ありがとうです…。



そうして月日は流れていった…。

颯真と泉水の子が産まれたのはその年の冬だった。

元気な男の子が産まれ名は“れん”と名付けられた。


蓮…おとうさん早く帰って来るといいですね。

きゃっきゃ。


そして夏がきた…。

颯真や未來がいた町では恒例の夏祭りが始まるころだった。


おかあさん果那おまつり行きたい。

そうね…。


泉水…蓮は私が見ているから息抜きしておいで…。

白夜さま…。

そんな顔ばかり子どもに見せるものじゃないよ?

私も夜白や眞白を育てる時はそうでしたから…。


はいです…。


思えば夏祭りなんていつ以来だろう…。

颯真と行ったあの夏以来?

はぁ…。

泉水おねえちゃん元気ないね。

果那ちゃん…そんなことないですよ?

じゃ、いこー!!

はいはい、待ですよ…。


果那ちゃんはお祭り良く来てたです?

ううん、果那は初めて~。

でも…神社に住んでいたんじゃ…?


境内から出てはいけないとおじいさんに言われてたのよね?

うん…だから初めて!

わぁ~…なにこれ~おいしそう~。

わたあめっていうですよ?

そうなんだ~…。

おじさん1つくださいです。


はいよ500円ね。


未來ちゃん…ウチ少し疲れたです…。

向こうで休んでるです。

はい…わかりました。


泉水さん…。

大丈夫かな…。

大丈夫だよ颯真おじちゃんが帰って来るから。

え?



泉水は神社の境内にきていた…。

いまは使われていない里への入り口になっていた竹藪…。

くす…なつかしいです。

ここで夜白さまに何か隠して無いかって…。


颯真…いまどこです?

いつまで待たせるですか…。

二人の子供も産まれたですよ?

颯真に一番に抱かせてあげたかったのに…。


ばか…颯真のばかぁぁぁぁぁっ!!!


ひどいな…。


え?


ガサガサ…。

バカはひどいだろ…。


そ、颯真?


ホントに颯真です?

幽霊じゃないです?

あぁ…足なら着いてるぞ?

ぐす…もう会えないかと思ってたです…。


ただいま…泉水…。

おかえりなさいです。

静流はどうしてるです?


静流さんは…すまない…たすけられなかった。

そう…ですか…。

でも、颯真だけでも帰って来てくれて良かったです!


妖力は無くなっちまったけどな。

そんなものなくても生きていけるです。

そうだな…。


颯真?

ん?どうした?

もう、どこにもいかないですよね?

ウチをおいていかないですよね?

あぁ…いかないよ…ずっと一緒だ。


颯真…何か忘れてるです。

なにも忘れてないぞ?

もういいです!!

蓮に会わせてあげないです!!


おい!!そりゃないだろ!?

知らないですよーだ…。





ね?颯真おじちゃん帰って来たでしょ?

そうね…良かった。

もう少し二人にしてあげましょ?





こうして風磨との戦いは終結した…。

妖力を失った颯真は泉水と蓮の家族で里を離れ町に戻って生活することを選択した。

未來も颯真と一緒にもどり果那を普通の小学校に通わせる。

里の頭首は眞白が代行することになった。















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Children's Stories 涼宮 真代 @masiro_suzumiya

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