響いてくるのは、あの日の君のラジオ
涼、聞こえてる?
……ううん、聞こえなくてもいい。
たぶん、もう届かないって、どこかでわかってる。
でもそれでも、話したくなるの。
君のラジオって、そうだったよね。
“届かなくても話す”。
自分の声が、どこかの誰かに届いてるかもしれないって
希望をもって話す。
わたしね、本当はすごく不器用で、
歌うことでしか自分の気持ちを表現できなかったんだ。
だから最後に、自分の声を残した。
あれが、私が君に宛てた“返信”だった。
君に贈る私が生きていた”証”だったんだ。
君が放送を続けてくれる理由になるなら、それだけで、十分だと思った。
でも、君の放送を聞くたびに会いたい気持ちがどんどん膨れ上がった。
だって君は私を探して旅してくれたから。
私はそれがうれしかった。
だけど叶わないから、
これを残しておくね。
――ねぇ、涼。
君の声が、まだ聴こえるよ。
ラジオから君の声が響いてくるの。
もしかしたら、それは幻かもしれない。
でも、君はまだどこかで話してる。
生きたいと思って進んでいる
だから、わたしもまた――歌おうと思うの。
君の声が止まらない限り、私も、生きていきたいから。
――その声が生きている限り、
終わりは、きっと来ない。
終末世界からこんにちは ロッソジア @Rossojia_Ryusenji
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