第11話 羽田のラウンジ


宮本巡査長は しばらく間を置き 宮本巡査長も一緒ならと 言ってくれた。


翌日 陽菜夫人がマスコミから逃げるように潜んでいるホテルの一室に 私と宮本巡査長は訪ねた。


陽菜夫人は 白のブラウスとグレーのフレアースカートの姿で、静かにドアをかけた。私達を招き入れた。


宮本「陽菜夫人ですね 私は こう言う物です」と警察手帳を見せた。


「こちらは、ちなつさんを発見してくれた、第一発見者の白石すずはさんです。」


すずは「すみません。こんな所まで、押しかけてしまい。私は 真相が知りたくて 何故ちなつさんは、死ななくては いけなかったのか?何故 あなたは 戸籍を作り替える事ができたのか?」


陽菜夫人は、ちなつさんの名が私の口から出た時から 涙ぐんでいた。そして ふっーとため息を、ついた後 話はじめた。


「私の本当の名前は 森 紀子です。私は 確かに ちなつを産みました。とても 愛おしく 可愛かった。手放す気など少しもありませんでした。忘れもしないあの日 天真名水の前の河原に 登さんを呼び出したんです。


ちなつを連れて行きたいと 登さんは きっと私が よりを戻すために帰って来たと 思っていたようで 笑顔でリボンのついた紙袋を下げて現れました。私の言葉も聞かず彼は


「紀子は 誕生日が近かったなプレゼントを買ってきたんだ。」といいながら 紙袋の中から 赤いハイヒール👠を出して 私の履いている靴を脱がせ 履かせようとしました。


私は「違うの、違うの登さん 私が今日来たのは ちなつを引き取りに来たの あなたとは、もう 一緒には いれない」


登「何でだよ あんなに愛し合ってたじゃないか!ちなつも生まれ 俺たち上手く言ってたよな!見てくれ これは 俺が丹精込めて作ったんだぜ。親父が数本だけ作らせてくれたんだ」と 腰にさしていた、短刀を私に見せてくれました。


陽菜「登さん 私もう ここの暮らしが無理なの」


登「じゃー俺とちなつが お前のいる町に行きゃーいいんだな!そうだろ そうすりゃー解決だ な!」登さんは焦ってました。


陽菜「私は 登さんと一緒にいるのが もう無理なの!登さんの いい加減さに ついていけなくなったの!私も努力したわ でも あなたは ちっとも 変わらなかった。だから私が変わってしまった」


登さんは 片方の赤いハイヒール👠を投げ捨て 私を強く揺さぶり

「もう一度 もう一度でいいんだ な紀子」と何度も私に言った。


私は涙が溢れながら川に流されていた赤いハイヒールをぼっと見てました。


登「男か 男が できたんだな!お前を 他の男に取られるぐらいなら」とあの短刀を手にとり私にむけました。


「違いわ」と私が彼を振り解いた時 彼は酔っていたせいか足を滑らせ 倒れ頭を大きな岩にぶつけました。


私は、何度も登さんに声をかけたのですが 返事は無く 怖くなった私は 片方だけ履かされていた赤いハイヒールを脱ぎ捨て、その場を逃げました。あとの事は よくわかりません」


宮本「その時に ちなつちゃんは 様子を何処からか見てたんですね きっと」


すずは「これは、私の想像ですが きっと ちなつさんは 大好きな ママとパパが喧嘩をして パパが倒れ ママが 悪い事をしたって事を隠したくて 赤いハイヒールと短刀を隠し 泣きながら 祭りに来ていた皆んなを呼びに行ったんでしょうね。」


「ちなつー」と陽菜夫人は泣き崩れ

すずは「きっと 高校を卒業し 東京に出てくる時に ハイヒールと短刀を持って出てきたんでしょうね。

誰にも見つからないまま ずっと持っていた ちなつさんの事を思えば胸が痛いです」


陽菜「私は 高千穂から東京にもどったのですが どうしても 辛く 死のうと思い 橋から飛び降りました。命はかろうじて取り留め その代償に過去記憶が無くなりました。数年後保護してくださった 施設の方が戸籍を新たに作る手続きをしてくださったのです。」


すずは「記憶が 戻ってますよね何故?」私は少し強い口調になった。


紀子「私と竹川の間には 子供はいません。正確には 1人女の子がいたんです。でも死産でした。その子を抱いた時、ちなつの事を思い出したんです。そして全てを…でも私は記憶を取り戻した事を誰にも、言う事が出来ませんでした。弱い私でした。」


すずは「紀子さん いや 陽菜夫人も 辛い過去を背負って生きていたんですね」 

陽菜夫人は宮本巡査長に連れられ 出頭した。


あれから 1ヶ月後 2人は羽田のラウンジで 迎え合わせにテーブルを囲み コーヒーと,紅茶を飲みながら話していた。


すずは「次は どちらへ?」

宮本「沖縄だよ!」

すずは「えー。沖縄なのー?観光なら いいけど 仕事でしょ?」


宮本「そう 捜査で、いきます。君は?」

すずは「あ!わたし?私は もう一度 あの くしふる神社に行こうかなーっと思って 早めの夏休みとったの?ほら スケさんとオタマの似合う奥さんにも 又会いたいし」


「あ!それと 私 聞きたい事があったの?あの時 公園で ちなつさんは、靴を履いていなかったじゃない?靴の行方は、どうなったの?」


宮本「あ!あの靴は… 右の靴は南1キロ先に 左は東の2キロ先の公園に あったよ。どちらも 動物の噛み跡がついていた。きっと血液がついていたからでしょう。犬か猫が 持ち歩いたみたいです。」  


すずは「そうだったんだー。だから靴を履いていなかったのね。あの時は、何故靴を履いて無くて、ハイヒールが一足だけあるのか?不思議でたまらなかった。これでスッキリしたわ。所で、ねー その敬語やめない?なんか 話しずらいんだけど」


宮本「あっあーー。仕事で敬語が おおいからなー なんか つい」


すずは「次はどんな事件で 沖縄なの?」


宮本「今回は 歌舞伎町で事件。ホストが 刺されたんだ そのホストが沖縄出身らしい。東京は 色んな所から 人が集まってる、それが東京だしね」


すずは「ねー笑う事 あんの?」

宮本「あるさ!」

すずは「ほんとにー」

宮本「あーヨダレたらして横に寝てる奴の顔見た時とか(笑)」


すずは「やっぱ、あの時 見てたのねー」

宮本「お互い 帰ってきたら 近況報告って事で、『名探偵すずは』に 俺会いたい」と彼は、見せた事のない笑顔を、私に 見せた。


私はと言えば その歌舞伎町のホスト殺人事件の概要が 聞きたくて 彼を見つめてたのかもしれない。「会ってやるかー。『名探偵すずは』ですもの」

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「すずは」さんは 名探偵 0(ゼロ) 鬼塚 夢 @itigo11

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