第19話 【初めての依頼らしい】



 とりあえず金貨が届くまでの3日間は暇なので、冒険者登録をしたのもあり、せっかくだからと3人で依頼を受けてみることにした。


「俺達のランクで今受けられるのは……あまり良さそうなものはないな」


 討伐系の依頼がない、というか低ランクの依頼がほとんどない。受付の人が言ってたようにこれもこの前倒したブラックウルフロードの影響なのだろう。


「この依頼なんかはどうかしら?」


 そんな中エルフィナが指差していたのはブラックウルフの討伐依頼で、中ランク用の依頼だけど低ランクでも受注可。というものだった。


「ブラックウルフなら狩り慣れているしありだな。これを受けることにしようか、リリアはこの依頼でも問題ない?」


「あたしはなんでもついていくよ」


「OK。そしたらこの依頼書を受付まで持っていったらいいのかな?」


 受付まで依頼書を持って行き、依頼の受注手続きを済ませてから3人で街の外へ向かう。


 依頼書に書いてあった内容は以下の通り。

【ヒュテリア西の森にいるブラックウルフの討伐、1頭につき銀貨1枚。討伐の証としてブラックウルフの右耳を納品すること】


「ていうか右耳の納品って……討伐したブラックウルフの耳を切り取るってことか?」


「そうね。ナイフで右耳を切り取って持ち帰ることになるわ」


「うわぁ……あまり気は進まないけどこれも慣れていくしかないか」


――そうしてしばらく歩いていると、お目当てのブラックウルフと遭遇した。

 数は5頭ほど。俺1人でも問題なさそうだ。


 今日も俺のお供はこのハンドガンGlock17だ。

 そしてブラックウルフの頭を狙い、撃つ。

 この街にくる道中でやったことと何ら変わりなく、かなり慣れてきた。


「ユーリさんお見事ぉ!」


「これがユーリの武器なんだねぇ」


「そういえばリリアは間近で見るの初めてか」


「エルフの村で部下の視点から一応見てはいたけれど、間近で見るとやっぱり迫力が違うよねぇ」


「おっと。こんな話をしてる間に音を聞きつけて新しいのが来たみたいだな」


「今度はあたしの番かねぇ」


 リリアはそう言うと、背中に背負っていた大剣を抜刀した。

 その小柄な体型とは正反対のとても大きな剣だ。


「それじゃあいくよ。『瞬歩』」


 スキルを使った瞬間、リリアは一瞬にしてブラックウルフの前へ移動

 動揺したブラックウルフが反撃をする間もなく切り裂いていく。

 30秒も保たずに10頭近くいたブラックウルフが全滅した。


(改めて思うけど、リリアが敵じゃなくて本当に良かったよ……)


 もしもリリアが敵だったのなら、確実に殺されるだろうと思った―――

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