第16話 【実はすごかったらしい】



 次の日の朝―――


 三人揃ってから朝食を適当に済ませ、女将さんに魔物の素材を売却出来る場所を聞いてから宿屋を出た。

 女将さんに聞いた話によれば、依頼の発注/受注や素材の買い取り等は全て冒険者ギルドが行っているそうだ。


「ブラックウルフロードの素材、いくらくらいで売れるんだろうな〜」


「肉はかなり高値がつくけど、牙とか爪なんかの素材は分からないのよね」


「ブラックウルフロードの素材ねぇ。あたしはそういう売買とかには興味ないからわからないねぇ」


「おっ!冒険者ギルドってあれじゃないか?」


 街の中に一際目立つ建物が見えてきた。


「いかにも冒険者っぽい人達が沢山いるし、あそこで間違いなさそうね」


 近くまでくると、入口に看板がある。《冒険者ギルド》と書いてある。

 あれ?そういえばこの世界の文字も難なく読めてるけど、これって日本語じゃないよな?これも転生特典の一部なのかな?何にせよ言葉が分かるのはありがたい。


 建物の中は冒険者で溢れている。冒険者達の間を通り抜け、受け付けまで辿り着いた。


「ようこそ冒険者ギルドへ!」


「素材の買い取りをお願いしたいのですができますか?」


「はい!それでは冒険者カードを頂いてもよろしいでしょうか!」


「冒険者カード…?」


「あっ!ご利用は初めてでしょうか?」


「はい」


「それでは冒険者登録が先になりますがよろしいですか?」


「大丈夫です!」


「ではまずは能力の測定になりますので、お名前をお聞きしても宜しいですか?」


「ユーリです」


「ユーリさんですね。それではこちらの水晶玉に手を乗せて下さい」


 目の前に置かれた水晶玉の上に手を乗せる。


「――はい!もう大丈夫です!それではこちらの冒険者カードに測定結果が出るまで少々お待ち下さい!」


 しばらくすると、冒険者カードに文字が浮かんでくる。


《力:5》《体力:5》《器用さ:50》《素早さ:5》《魔法力:10》《運気:15》


「これは…?」


「こちらはユーリさんのステータスになります。器用さがかなり高いですね!その他は平均値と言ったところでしょうか…。器用さが高い方はアーチャー等のジョブがおすすめですね」


「なるほど。ではこの下の欄のスキルというのは?」


「これはですね、ユーリさんが習得しているスキルの一覧になります。誰かから教えてもらったりすると習得出来るのですが、えーっと―――うん?ユーリさん。どこでこんなスキルを?」


 俺のカードのスキル欄には1つだけ、《収納箱ストレージデータ》というスキルが書いてあった。


「あ、実は俺、容量が無限で、いつでも取り出し自由な魔法袋のような物を使える んです」


「えぇ?!そんなスキル聞いたことがありません!一般的に魔法袋というのは容量の多いただの袋ですから…」


 わかってはいたが、やっぱり転生特典でもらったこの《収納箱》はとんでもないようだ――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る