第12話 【色々教わるらしい】
先程倒したブラックウルフロードを解体中―――
エルフィナの話によれば、こいつの素材はかなり高く売れるらしい。
一般的には凄腕のハンターが4,5人揃ってやっと倒せるくらいなのだとか。
そんな魔物を一撃で仕留めてしまうユーリの武器は恐ろしいと言われた。
「いくら対物ライフルが強いとはいっても一撃だったし、そこまで強そうな相手ではなかったと思うけどなぁ……」
「ユーリ……あなたねぇ…
自分の使っている武器の強さを分かってなさすぎるんじゃないの?
ブラックウルフロードは場合によっては国が討伐命令を出すレベルの魔物よ?」
実際、この世界で地球の現代兵器がどれほど通用するのかは理解できていない。
それに、通用したところでそれを扱えるような腕を俺は持ち合わせていない。
「まあさ、今は俺達がこいつに勝利して、生きているってことだけで良いんじゃないか?」
「まあそれもそうね」
それからも黙々と解体作業を続ける――
作業の最中、エルフィナは色々な知識を教えてくれた。
無駄のない肉の卸し方、綺麗な皮の剥ぎ方等々、すごく為になる。ありがたい。
3時間程解体作業を続け、ようやく終了した。
「やっと終わったな……エルフィナ、お疲れ様。」
「っはぁー!ようやく終わったわね!ユーリもお疲れ様!」
「もうすっかり夕方になってしまったし、今日はこの辺りで休むとしようか」
「そうね、さすがにもう歩けないわ」
ということで夕食の準備を始めた。
「俺はブラックウルフロードの肉を食べようと思うのだけど、
エルフィナはそうじゃない方が良いよな?」
「え?別に私も同じで良いわよ?」
「あれ?エルフは魚や肉を好まない…ってエルスさんから借りた本に書いてあったんだけど」
「ユーリ…ふふっ! あんな古い本に書いてあること真に受けてたの?
確かに昔のエルフ達や今の年寄りはあまり肉を食べないみたいだけど、私達は全然食べるわよ!」
「そうだったのか……なんか損した気分だなぁ」
エルフィナが肉も全然食べれることがわかったので、
今日の夕食はヤツの肉を使ったカレーを作った!
実はこの男。ゲームにハマる前は料理もしていたのでそれなりに出来るのである。
ゲームさえしなければかなりのハイスペックボーイだったのでは?
「おーい、エルフィナ、夕飯出来たぞ〜」
「さっきから気になってたんだけど、何この匂い、ちょっと鼻にクるわね…」
「これはスパイスの匂いだね。
まあ味は美味しいだろうから、食べてみようか」
「あ!そういえば!」
「ん?どうした?」
「あなたが食事をする前にしているお祈りみたいなやつ、私もしてみたい!」
「あぁ、わかったよ。じゃあまずは手と手をこんな感じに合わせてから、こう言うんだ」
「いただきます」
「い、いただきます」
この感じ……なんだかすごく懐かしい感じがする―――
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