第2章 人族の街『ヒュテリア』 編
第11話 【黒狼の群れらしい】
村を出発してから、俺達は
道中何度かブラックウルフに遭遇したが、エルフィナに対処を任せっきりだ。
俺はエルフという種族を…いや、この世界の人達を甘く見すぎていたのかもしれない。
それにしてもエルフィナの使う魔法はすごい。
魔法の詠唱にこそ数秒かかるものの、その破壊力がとてつもない。
ブラックウルフに使うものとしては
それでも今はとても助かっている。
この世界に来てからブラックウルフや魔族と戦闘した経験はあるが、
まだ何かを殺すという行為をそう軽々と出来る精神は出来上がっていない。
村を出てから3時間程が経過―――
北に向かうにつれてブラックウルフに遭遇する頻度が高くなってきている。
「なあ、なんかブラックウルフの数が増えてきてないか?」
「――えぇ、そうね。この先に何かあるのかしら」
それからまた少し進むと、ブラックウルフの群れと遭遇した。
数は大体20匹程度、まぁエルフィナの魔法があれば問題ないだろう―――
「ユーリ! 伏せて!!」
エルフィナに言われ反射的に伏せると、
俺の上半身があったであろう場所に一際大きなブラックウルフが飛びかかっていた。
厳密にはブラックウルフではないのか…?
毛色が黒ではなく白なのだから。
白い狼はすぐに群れの先頭へ移動する。
「ユーリ、あれは
私1人で対処するのは多分厳しいわ、さすがに今回は手伝ってもらえる?」
「あ、ああ!わかった!」
いつものようにGlockを取り出そうと思ったが少し考える。
あの巨体では恐らく9mm弾では致命傷を与えられないだろう。
そう思い、
「エルフィナ!少し時間を稼げるか?」
「わかった!任せて!」
エルフィナが時間を稼いでくれている間に、対物ライフルを配置。
マガジンも取り出しセットする。
安全装置を外し射撃準備は完了した。
「こっちは準備OKだ!3秒で良いからそいつの足を止めてくれ!」
エルフィナの魔法でヤツの足が止まった。
すかさず頭に狙いを定め―――トリガーを引く!
『バゴォォオオオン!』
その瞬間、轟音が鳴り響き、ブラックウルフロードは倒れた。
すると、残りのブラックウルフは散り散りに逃げていく。
「何いまの!?とてつもない音がしたのだけれど……」
「これが俺の武器だよ。そういえばちゃんと見せるのは初めてかもしれないな」
「ユーリはいつもこんな弓…?で戦ってるの?」
「あ、いや、いつもはもっと小型のものを使っているよ。さすがに1人の時はこんなもの使えないしね」
「そ、そうよね。にしてもすごい音だったわね……」
「それと、これは弓ではなくて、金属で出来た矢のようなものを発射する銃っていう武器なんだ」
「金属をあれほどの速度で放つ武器なんて聞いたことがないわよ……」
「俺の元々住んでいた場所で作られた物だからね。聞いたことがなくても仕方ないよ」
「というかその銃とやらもすごいのだけど、ユーリって収納魔法を使えたのね」
(収納魔法…?あ、ストレージのことか)
「うん。エルフィナの知っているものとは少し違うかもしれないけどね」
「旅をするっていうのに荷物も何も持っていないからもしやとは思っていたけど。羨ましいわ」
この世界にも俺のストレージと似たような機能を持つ収納魔法とやらが存在するのか。
まあ物を保管できるだけだとは思うけど―――
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