第8話 【ミスったらしい】



――少し考えた後、俺は投降することに決めた。しかしただ投降するわけではない。ちゃんと作戦は考えてきた。


 さっきどうしようか悩んでいた時に、ふとストレージからの物の出し入れはいつどこでも出来るということを思い出した。


 あとは簡単なことで、投降すると見せかけ相手が油断したところでストレージから武器を取り出し、不意をつき倒すというわけだ。


「オラ!早く出てこないとこいつらぶっ殺しちまうぞ!それでもいいのか?!」


「わかったわかった。まあ落ち着けって、ここにいるからさ」


 分かりやすいようにわざと手持ちの武器を投げ捨てる――

 奴は俺を見つけると殺意を剥き出しにしてきた。


「うちの奴らを随分と好き放題してくれたなぁ?」


「それはこっちのセリフだろうが。村を滅茶苦茶にしやがって」


 奴は俺との会話に夢中になっているようだ。エルフィナを突き飛ばしこちらに来る。

 これで邪魔をするものはもう何も無い。


「お前は俺の仲間を殺しすぎた。楽に殺してはやらんぞ――っ!?」


 ストレージから投げナイフを3本取り出し、2本を奴の胴体に向かって投げる―――2本とも胸に命中した。


ちなみに、優里はゲームにハマる前、ダーツを少しかじっていたので、投擲の腕はそこそこある。


「てめぇ!ゴホッ――そんなものどこに隠し持って······うっ――」


 声を聞いているだけで腹が立ったので奴に近付きもう1本を喉に突き刺す。

 間違いなく死んだだろう。


「お頭?!――おいお前!一体何を?!」


 すぐさまストレージからGlockを取り出しマガジンを装填――そのまま残りの4人を撃つ。


『パンッ――パンッパンッ―』


『パンパンパンッ、パンパンパンッ―』


 最初に撃った1人は頭に当たり即死、2人は反撃しようと走ってきたが、少し距離があったので問題なく射殺。


 最後の一人は3発ずつ、殺さないように両足に撃った。


 すぐさま近づきそいつから目的を聞く。


 「うぐっ·····お前はなんなんだ····うっ·····」


 「俺が誰かなんて今はどうでもいい。そんなことよりお前等はなんだ?何の為にこの村を襲った?」


 「俺達は······うっ――お頭に言われてここを襲っただけだ。何の為にとか·····うぅ――そんなことは知ったこっちゃないさ·····」


 どうやらお頭とやらを殺してしまったのは間違いだったようだ。

 こいつから事情を聞こうと思ったがまさか何も聞かされていないとは·····


「そうか、それならお前にはもう用はないな」


「待ってくれ!殺さないでッ――」


『パンッ』


『カランッ』


 銃の発砲音と、薬莢の落ちる音だけが夜の空に響いた―――

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