第7話 【襲撃されたらしい】



―――なんだか外が騒がしくて目が覚めた。


「まだ朝じゃないよな·····?ん?」


 何かを叫ぶ声と、悲鳴のような声が聞こえる。

 一体外で何が起きているんだ?

 何か嫌な予感がするので急いで装備を整え部屋から出る――

 外に出ると、村は何者かに襲撃されたようで、既にかなり酷い有り様だった。炎で焼け焦げた家屋、首の落とされたエルフの遺体もいくつかある······


「なんだよこれ·····酷すぎる·····」


 人の声がする方向へ進むと、荒げた男の声が聞こえる。

 茂みから様子を見てみると、大樹の周りにエルフ達がロープで縛られていた。

 縛られている者達の中にはエルスさん一家もいた。

 この村を襲撃してきたのは――あれは人間族か?耳は長くないし獣のような姿でもない。俺と大差ない見た目で全員が黒い衣に身を包んでいる。


 俺が今この場所から発砲すれば1人はやれるだろうが音で確実にバレる。そしてこんな状況ではあるが人を撃つ覚悟もまだ出来ていない····


 だが今はエルフ達を助けるのが最優先なので、ストレージからGlock用のサプレッサーを取り出し装着する。


(相手は遠距離武器を装備していない、近づかれなければ全員仕留めることが出来るはず·····)


 ―――やるしかない。心の準備をする······よし。


 奴らの数は今見えるのをざっと数えて16人くらい、全員中程度の装備で片手持ちの剣を装備しているので魔法使いは恐らくいない。


『パシュッ』


 まずは他の奴らと1番離れているのを1人、頭に1発――


『パシュッパシュパシュッ』


 次に少し離れたところにいる2人組を撃つ、1人目は1発で仕留めることができたが2人目は1発外してしまった、危ない。


 もちろん、特別な射撃スキルがあるわけでもない俺には遠距離からヒットさせることは不可能に近いので、敵との距離はせいぜい7,8メートルくらいである。


 それからも1人ずつ順調に排除していき、残り6人になったところで、奴らの1人が異変に気づいたらしい。


 それからそいつは仲間を探しに見回りへ行ったので、後をつけてそいつも始末した。

 しばらく経ってその仲間が戻ってこないからか、残りの全員が警戒し始めた。


 残りは5人、だが油断はできない。

 なにか切り札を隠し持っているのかもしれないのだから·····

 

 (奴らの1人が集団から少しだけ離れた――今しかない)


『パシュッ』


 まずは離れたそいつを始末する。すぐに残りの奴らはそいつが死んだことに気付いた。

 それから残りの4人を1人ずつ·····と思った矢先、奴らの親玉と思われる1人がエルフ達の方へ近づき―――


(······っ!)


 エルフィナを連れて戻って来る。

 そいつはエルフィナの喉に剣を突き立て·······


「おい!どこの誰だか知らんが、こいつらを1人ずつぶち殺されたくなかったら武器を捨ててさっさと出てこい!」


 俺に投降しろと言ってきた······

 エルフィナを人質に取られた以上、下手に動くことは出来ない。


(奴の言う通りに武器を捨てて投降するか·····?)


いや、俺が丸腰で出ていったところでただ殺されるのがオチだろう。


一体どうしたものか――

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