第6話 【交流らしい】
夕食を頂きながら、四人で少し話をした。
狼の魔物と戦ったこと、その肉を食べてみたこと、そしてすごく不味かったことも。
狼の魔物はブラックウルフと呼ばれているようだ·····見た目のまんまって感じだ。
それと、ブラックウルフはやはり食用には向かないらしい。まあそれはこの身を以て理解したよ。
強いて言うなら人間族や獣人族は干し肉のようにして保存食として食べることはあるのだという。
そんな感じでここまで俺に起きた出来事を話したり、エルフィナちゃんの小さな頃の話を聞かせてもらったりした。
あ、ちなみにエルスさんとエルフィさんは現在73歳、人間の年齢で表すと30代後半くらい。
エルフィナちゃんは36歳、人間の年齢では17,8歳くらいといったところ。
ちなみに俺、三浦優里は18歳である。
「エルフィナ"ちゃん" と呼ぶのは失礼だったかな」
「それは私がおばさんだって言いたいわけ?!ぶっ飛ばすわよ?」
「あ、いや、そういうんじゃなくて、単純に今までエルフ族みたいな長命種と関わる機会がなかったからどう接していいのか分からなくて·····ごめん」
「ふん、呼び捨てで良いわよ別に。変に気を遣われるのも嫌だし」
「わかったよエルフィナ」
「や、やっぱり呼び捨てはなし!!」
「えぇ·······」
「はいはい。イチャイチャ楽しんでるところ申し訳ないのだけど、今いるのは2人だけじゃないってことを忘れないでね」
「「イチャイチャなんてしてない!!」」
それにしても、この一家のおかげで今日の夕食はとても美味しく感じたような気がする。もちろん料理自体が美味しかったのもあるのだろうけど。
「ごちそうさまでした」
「そういえばユーリくん、食事の前にも聞いたことのないお祈りをしていたみたいだけれど、それはあなたの故郷の風習かしら?」
「そんなところです」
「聞いたことすらない言葉だなんて、まだまだ世界は知らないことで満ちているわね」
「そうですね。俺もまだまだ知らないことばかりです」
「ユーリくんからは聞いてみたいことも沢山あるけれど、もう夜も遅いし今日のところはここまでかしらね。また明日にでも聞かせて頂戴」
「はい!夕食美味しかったです。ごちそうさまでした」
その後、滞在用に用意してもらった部屋に戻り、ベッドに横になりながらエルスさんから借りてきた本を読んでいるのだが、どうやらエルフ族というのは肉や魚をあまり好まないらしい。
(夕食にめちゃくちゃ肉料理あったのだけど······)
外の人間である俺の為に無理して作ってくれたのだろうか。ありがとう、エルフィさん。
この世界に来て初めてちゃんとしたベッドで横になっているからだろうか。俺はそんなことを考えながら5分と保たずに深い眠りへと落ちていった―――
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