第5話 【エルフの村らしい】

 エルフの男――エルスさんに手足を拘束するロープを外してもらった。


「そういえば、名前をまだ聞いていなかったね」


「三浦優里って言います」


「ミゥラ····ユーリ····?」


「ユーリで大丈夫です」


「わかったよ、よろしくユーリくん。腕の傷には治癒魔術をかけてあるから、数日もすれば完治すると思うよ」


「やっぱり魔法とかあるのか!異世界って感じだなぁ!金髪エルフもいるし!」


「――――?」


「あっ、ごめんなさい!なんでもないです·····」


「そ·····それならいいのだが」


(やっちまった····絶対頭おかしいと思われたよ·····)


 部屋を去る前に、エルスさんはお詫びとしてしばらくはこの村に滞在しても問題ないと許可をくれた。寝泊まりする部屋も用意してくれるらしい。

 

 後から知ったのだけれど、エルスさん····村長でした。すんごい失礼な態度を取ってしまっていたような気がする。うん·····


「何はともあれ、ようやく人と話せるんだ。まずは情報収集からだな」


 それからニ時間ほど村のエルフ達に話を聞いて回った―――

 それで、エルフ達に聞いた話によれば、この世界には大まかな種族として人間族、エルフ族、ドワーフ族、獣人族、魔族の五種族が存在するらしい。


 今いるこの場所はエルフの治めるウィンディア王国って国の最南端にある村とのこと。

 あとは、お決まりといってはあれだがエルフとドワーフは種族間の仲が悪いらしい。

 他にも色々と為になる話を聞くことができて今日はとても充実した一日になりそうだ。

 それに、俺がこの世界に降り立って最初に見たあの街は、主に人間族の住む街だということも分かった。


「やっぱり次の目的地はあの街に決まりだな。2,3日ここに滞在させてもらってから出発するとしよう――」


 ――時は過ぎ、その日の晩


 なぜかエルスさん宅で夕飯をご馳走してもらうことになった······

 夕食の席を囲むのはエルスさん、エルスさんの妻であるエルフィさん、そしてあの時俺の腕に矢を放ったエルフィナちゃん、そして俺。うん·····すごく気まずい!


 しかも何が気まずいってね、エルスさんが多分気まずいの分かってて俺の隣にエルフィナちゃん座らせてるの!ひどい!


 全員が揃ったところでエルフィさんが口を開く。


「さあ、皆揃った事ですし冷めないうちに頂きましょうか」


「「風と大地の精霊さまのお恵みに感謝いたします」」


「いただきます」


(エルフ達は食事する前にあんな感じでお祈りをするのね····)


 シンプルに、めちゃくちゃ美味しかった。狼の肉とは比べ物にならないほどに―――

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