第4話 【出会いらしい】
朝飯を食べた後、まずはここがどういった場所なのか把握したほうがいいだろうと思い、今現在は森の中を探索中だ。
1時間ほど探索して分かったのは、ここがかなり広く深い森だという事と、生態系は魔物がいることを除いて元々暮らしていた地球とあまり大差がないということだった。
魔物ってなんのことだよって?
朝食べた狼みたいなやつのことを勝手に魔物って呼ぶことにしたんだ。なんか黒いオーラ纏ってたし····魔物っぽくない?
「おっと·····こっちはダメか」
そして今また一つわかったことがある。
遠くに見える街、そこを目指そうとは思ったものの、真っ直ぐ向かうには高い崖を降りなければならないようで、遠回りしなければならないということ。
「しばらくは人と話すことは出来ないか·····」
別に人と話すのが好きな訳でもなければ、あまり人との会話は得意ではない。
しかし、長い時間1人となるとやはり寂しくなるとは思うのだ。
――しばらく歩いていると、川が流れている場所に出た。まあ·····飲料水は無限に出せるから必要ないのだが。
······?
何者かに見られているような気がする·····視線を感じる。
ふと後ろを振り返ると、木々の間で金色の何かが一瞬だけ見えた。その直後
『ヒュンッ!』
何かが飛んでくる音と共に右腕が熱くなるのを感じた。
右腕を見ると、棒のようなものが突き刺さっている。矢だ。
その矢を放ってきた相手を捕捉する間もなく、意識が遠くなっていく――毒――矢?―――
――――気が付くとそこには知らない家の天井が·····じゃなくて!ここはどこだ?俺はまた死んだのか?
起き上がろうとしても手足が動かない、よく見ると手足をロープで拘束されているようだ。
しばらくして扉の開く音がすると、耳の長い男と少女――所謂エルフのような人がニ人部屋に入ってきた。
少女が男の耳打ちに何かを話すと、男は頷いてからこちらに来る。
「初めまして、そしてまずは彼女に代わり謝罪をさせてほしい。手荒な真似をしてすまなかったと」
つまりさっき俺の右腕に矢を放ったのはあの少女ってことか。
それからしばらく事情なんかを聞かされたのだが、要するにここ一帯はこのエルフ達の土地で、
突然俺がいた辺りから大きな音が聞こえたから様子を見にきたのだという。大きな音というのは俺が狼の魔物と戦闘した際の音だろう。
それで俺のことを危険だと判断して早まったエルフの少女に右腕を射抜かれたってわけだ。
「あなたの口からではなくて本人から謝罪をしてもらいたいのですが」
すると、男が少女に声をかけ、少女は俺の前まで歩いてきた。
「――なさい·····」
「ん?なんだって?全然聞こえないんだが」
「だからごめんなさいって!これで満足でしょ!」
『――バタンッ!』
エルフの少女は顔を赤くすると勢いよく扉を閉め部屋から去っていった。
(うむ、ちょっとやりすぎたかな)
するとエルフの男が口を開く。
「あれでも悪いとは思っているんだ。許してやってもらえないだろうか」
「それはいいんですが、とりあえずこのロープを外してもらえますか?」
「おっとすまない、すぐに外そう――」
こっちの世界で初めての出会いがこんな·····思ってたのと違うよ······
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