第64章 招かれざる客
菱珪玉が目を覚ましたとき、卓上には湯気の立っている卵粥と漬物が置かれていた。
(ここは……上官家の客間? 前に私が滞在していた部屋によく似ている……)
上官家まで必死に馬を走らせていた三日三晩の間、何も口にする余裕がなかったせいで、彼は卓上の命綱に飛びついていた。
彼が粥を飲み終えたとき、扉の外から叫び声が聞こえてきた。
「来たぞ! あっ、当主! 菱家の大群が迫ってきました!」
「百里家の方々はすでに避難されたか?」
「えっ、まだお部屋です!」
という声が聞こえてきたかと思えば、その次の瞬間に菱珪玉のいた部屋の扉が勢いよく開けられた。彼を見ながら呆然とする上官双晶の顔もその後についてきたが。
「菱珪玉? 菱家の世子がどうしてここにいるのです?」
と、上官双晶が軽蔑を隠そうともせずに言った。
「上官当主、目が覚めたらこの部屋にいたのです」
「私が聞いているのは、菱家の世子がどうしてこの上官家にいるのか、と言うことです」
「百里景砂殿に伝言をしたかっただけです」
「ほう? それはどんな伝言ですか?」
それまで下方に向けていた視線を、上官双晶に合わせながら菱珪玉は言った。
「父の狙いがあなただ、ということです」
上官家の兵士たちが一斉に殺気を帯びた目を菱珪玉に向けた瞬間、開かれた門扉から輝きを帯びた緑色の光が室内にまで立ち込めたのだった。
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