第57章 決着と始まりの予感

 百里景砂の案内で、百里玄武は祭壇へ赴いた。

 そこには確かに、百里景砂の言葉の通りのものがそのままあった。それを確認して、百里玄武は少しだけ肩を震わせる。

 そのまま彼は埋もれかかっている菱妃の通行許可証を拾い、僅かな時を争うかのように書斎へと戻っていった。

 同日の夜、百里玄武は辰砂領全体に向けて宣告した。

 百里家への反乱参与が認められた菱妃を翌日の夜明けとともに斬首にする、と。

 そして、宣布された時刻になり菱妃が斬首されたとき、眠れぬ夜を過ごしていた百里景砂の胸には一抹の不安がよぎっていた。

 彼女は重い体を寝床から引きはがし、文机で簡単な書簡をしたためた。

『菱、斬首』

 それだけの書簡を伝書鳩の脚に括り付け、鳩が飛んでいく後姿を見ながら、百里景砂はある予感をしていた。

(菱妃の件は、菱藍雲の野心を増長させる契機となるかもしれない。もしそうなったら、私が生き残ることは叶わないのだろう)

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