第194話 路地裏にて
見知らぬ路地裏を歩く
室外機からのぬるい風
とこからか水が流れている
右手には薔薇の鉢植え
左手には空き瓶の列
その間を前へ、前へ
ここを抜ければどこに繋がるとか
こういけば近道だからとか
そんな合理的な判断はない
なんとなく飛び込んだ細い道
ひたすら人目を避けるように
薄暗い道を歩く、歩く
この先はやがてどこか
広い何かへ繋がっているのだろう
そもそもそんなことどうでもよく
ただ私は歩きたい
たまねぎを炒める匂いがする
もうすぐ夕方の6時だ
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