第195話 説教ピエロ


なんでこんなことしてんだろうと

手足を床に投げ出して

何もかも放棄してみたくなるときがある

変わらない現実とか何一つ見えない未来とか

ため息でもつきたくなるようなそのとき

壁の絵から飛び出してきたピエロがこう言った


「物語性のある人生をキミが選んだからだろ?なんの起伏もない時を過ごすよりよっぽど意味のあることだ」


黙れ、ただの絵のくせに、と悪態ついて

殴りかかってみたところで奴はただの紙切れ

残念ながらなんのダメージも受けやしない

でも確かにその通り、自分の選んだ生き方を

のたうち回りながら歩んでいる真っ只中だ

だから今日だけは何もかも放り出していいから

明日からまた足掻き続けよう


そう決めて見上げた壁の絵の中

ふざけた顔したピエロがニヤリと笑っていた


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暗がりに叫ぶ・6 マフユフミ @winterday

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