第1話 舞台『黙るな動け呼吸しろ』を観にいって来ました!

『黙るな動け呼吸しろ』

 改めて読んでみると、とても過激なタイトルですよね。

 ですが、このタイトルに込められた思いは、暴力的なイメージとは真逆の物なのです。

 この舞台は、特殊な経緯で生まれたものなので、少し説明をさせて下さい。


 発端は、2019年に東京芸術大学の学長である日比野克彦ひびの かつひこさんが『TURNミーティング』で『ろう文化(ろう者独特の文化)』を知り、とても驚くと共に「ろう文化の存在を社会に発信する舞台を創ろう」と考えたのが始まりでした。

 ※ ろう者 聴覚に障がいがあり、聞こえない、聞こえにくい人。


 その後『世界陸上』と『デフリンピック』が同じ2025年に行われることや、そのメインの都市が東京であることなどから、『TOKYO FORWARD2025 文化プログラム』というものが行われることになりました。

 この『黙るな動け呼吸しろ』は、その1つとして公演されることに決まったのです。

 

 プロジェクトが本格的に立ち上がったのは、2023年の6月。

 最終的に、総勢100名以上のスタッフが参加することとなりました。

 それも、たった1の為にです。しかもチケットは無料。

 当然、早々にチケットは無くなってしまいました。


 公演されたのは2025年11月29日(土)

 場所は東京上野にある東京文化会館の大ホールです!

 広いのなんのって、しかも高級感が漂っていました。

 受付はボランティアの人も含めて50人を越えていたでしょう。聴覚に障がいがあるかたのために、文字に書いたボードで案内があったり、タブレットで対応をするかたや、手話を使うかたもおりました。

 みなさんギャルソンのようなお揃いの姿で、男女共にカッコ良かったです♡


 ホールの座席は5階まであり、見た感じでは満席。(あえて空席にしているエリアはありましたが)

 1階の前半分は、手話を第一言語にしているかた専用座席のようでした。

 もちろん、これには理由があります。


 この舞台では、ろう者(聞こえない人)と聴者(聞こえる人)が共に出演します。

 ですが、基本的に字幕はありませんし、通訳もいません。

 なので、ろう者は舞台の人の手話を見ることになります。そのため手話が読み取りやすい、前方に座る必要があるのです。

(手話は遠くからも読み取ることは可能ですが、近いほうが確実に読み取れるからでしょう)

 ろう者は『ろう者』の立場で、聴者は『聴者』の立場で、相手の話している意味がわからない状況で『物語の登場人物と同じように』楽しんでもらおうという考えがあるからでしょう。


 とはいっても、聴者にも配慮はあります。

 手話を全く知らない人の為に、物語の中で簡単な手話を覚える(説明する)シーンがありますし、観覧車には前もって覚えておいたほうが楽しめる、いくつかの手話について、ホームページやMail等で案内をしていました。


 物語は、どこか現実と重なるような内容だったりします。


 あらすじは


 ろう者だけが住む『霧のまち』(霧に包まれながら、数十年をかけて日本を含めた特定の区域を移動する)

 そこに1人の聴者が迷い込んできます。

 互いに知らなかった文化に触れ合い、仲良くなって数年が経った頃、聴者は元の世界へ戻る方法を発見。

 数人の『霧のまち』の住人と共に、聴者は元の街へと戻るですが、そこは数年前と全く様子の変わった街で……。


 入場時に受け取ったパンフレットには『地理、人口』『宗教、象徴体系』『社会構造、治安』『建築』『衣、食』『情報通信、インフラ』などなど、細かい設定が書かれておりました。

 どうやら主人公の聴者は『百層』とよばれている巨大な都市に住んでいたようです。


 座席についてしばらくすると、東京系術大学の学長、日比野克彦さんの話が始まりました。

 それが終わると、注意事項や前説があったのですが、これが驚き!

 2人の人が舞台に出て来ると、片方が『日本語』で、もう片方が『手話』で注意事項や前説をおこなったのでした。

 ここで勘違いして欲しくないのですが、どちらかが『通訳』しているわけではなく、互いに別々に注意事項や前説をしているわけです。

 もちろん、話す内容は決まっていますし、1つの項目が終わるごとに目線を合わせ、互いに相手が同じところまで進んでいるかを確認するのですけど。

 私は手話をある程度は読み取れるので、2人の表現の違いが実に面白く、興味深く感じたのでした。


 本編の内容に関しては、たぶん書くのがNGだと思うので、それ以外を書きます。


 前説や注意事項で最初に言われるのですが、この演劇には『大きな音』を演出として使う場面があります。そのため、聴覚過敏など、音に弱いかた用に耳栓を提供していました。

 大きな音といっても、爆音のようなモノは少なく、どちらかというと体に振動するような、重低音系が多かったように思います。

 これは、ろう者も体験する為の演出なのでしょう。

 前半は、ほとんどセリフがありません。


 劇は、間に休憩を入れて2時間30分……の予定が、実際は約3時間!

 それだけ熱のこもった演技が、繰り広げられた証拠でしょう。出演者の気迫や情熱は、ビンビン伝わりました。

 Blu-rayとかで出ないかなぁ。


 1.000人を超える観客からの音の拍手、そして手話の拍手も!


 現実の問題を劇に入れながら、最後に問いかけるような、それでいて希望を感じさせる結末でした。


 公演は、この1回のみということですが、また機会があれば公演していただきたいと、切に願う私でした。

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不定期便レポート 手話友 元橋ヒロミ @gyakuryu

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