オニキス

深黒

「こ、こんにちはっ…!あの時はありがとうございました…!」

「いいえ〜。私はただ助けただけですよ〜いや暴れただけ…?」


 おしゃれなカフェで、チーズレモンケーキを食べながら答えた。今目の前にいていちごタルトを食べているのはユノだ。あの、オークションの時の商品。覚えていてくれたらしく、商店街で声をかけてくれた。コウに運ばれてた時だけしか見てないのによく覚えれるよね〜。

 

「ユノは最近大丈夫?狙われたりしてない?」

「はい。でも…最近、仕事クビになっちゃって…。」

「え!?なんで!?」

「商品にされている間、働きにいけなくて、連絡もできなかったのでやる気がないと…。」

「えー!?酷すぎない!?何そのブラック!じゃあ今は?」

「…仕事探し中です…。」

「…じゃあうち入る?」

「え!?」

「流石にコウとか私みたいな役は無理かもだけど、裏側の仕事もちゃんとあるよ。」

「…いいんですか?」

「うん!ゲンさん…えーと、私の上司…?に連絡しとくね〜。」


 ゲンさんは、メッセージの返信がめっちゃ早い。デスクワーク続けてるうちに培われたのかな〜などと私は思っている。

 ほら。もう返ってきた。

 内容は『全然OK!』というもの。よかった、これでユノは、私たちの仲間。幾度となく握手して、アイスコーヒーとアイスティーで乾杯した。ちなみに私がアイスティーのガムシロップ入り。ユノはアイスコーヒーのミルクを少し混ぜたものだ。


 その時、ザラザラとした感覚がして、すぐに笑顔が消える。


「…モナちゃん?」

「ごめんユノ。…行ってくる。」


 今度はコウは来ない。私1人でやらないと。そう意気込んで、駆け出した。


 そこは建物の残骸が散らばる場所。竜の死体が合った場所だ。反応が大きい。ということは結構強い。するとだ。またザラザラとして、反応が一気に増える。

 この感触ということは暴走化済み。なのになんでこんな一気に…!?


 そして『何か』が姿を現した。


「…え…。」


 嘘だと言いたかった。これはフィクションだと示したかった。

 なんで…なんで…!なんで…!?


 なんでなの?お兄ちゃん。


 一気に力が抜けて、その場に座り込んでしまった。


♢♢♢


 …おかしい。明らかにおかしい。

 なぜ反応が消えない?モナがやられた?長期戦?すでに数時間経っているのに反応は残っている。


 何変わらず夕食を食う。心配しすぎなのか、唐揚げが随分薄味に感じられた。


「…コウ?大丈夫?」

「うん。」


 モナがやられるわけない。メッセージも既読にならないけど、きっと大丈夫。

 そう思ったら急に腹が減って、流し込むように夕食を完食してしまった。


「それじゃあそろそろ帰るよ。」

「また帰ってくるのよ?」

「うん。たまには連絡する。」

「モナちゃんも大切にね。」

「はいはい。」

「…またね。」

「うん。また。」


 そしてドアが閉じられるのを待って、すぐにゲンに電話。


『どうした?』

「休日出勤しまーす。」

『あーはい。りょーかいでーす。』

「…軽いな。」

『まあこれで3回目ですし。』

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