死友

「ゲット。」

「おー!すごーい!ボッコボコだったね!でも銃なの?」

「まともな銃がないからね。」

「確かにー。私たちのやつも古いしね。」

「これ結構いいよな。武器が現地調達できる。」

「現地調達って言い方〜。」

「そういえばカラコン外したんだな。」

「ここは人間私たちだけだからね。」


 オークションも進み、俺たちの席には銃やら剣やらが置かれていた。


「…そろそろか…?」

「だね。時間的にも雰囲気的にも。」


 一気に空気が張り詰める。先ほどの楽しそうな雰囲気はどこへやら。冷たく思い空気だ。

 照明が一層暗くなる。音楽のボリュームが上がる。観客の盛り上がりも増す。いよいよラストだ。


『さあ、名残惜しいですが本日ラストの商品となりました!さあ、本日のラストは〜?』


 天井からひとつの檻が降りてくる。中には俺らと同じくらいの女子がいた。睡眠薬なのか、眠ったまま入っている。

 観客が皆興奮している。もし手に入れたらとか、調理法などの話が上がり始める。


「…行ける?ここ、多分人数もレベルも今まで以上だから2人で行くよ。」

「りょーかい。」


 立ち上がり、準備運動し始める。観客がざわついた。よし。来るなら来い。仕事だ。モナも深呼吸をしてスイッチを入れた。


 中央のステージに移動して、相手を確認。やっぱり強者が多い。『何か』からしたら一生に一度食べられるかわからないほどの高級食材。喉から手が出るほど欲しいのだ。そして、俺らの目の前でその商品を食おうとしている。完全なる俺らへの復讐。


「…ざっと数えて40人くらい?」

「1人20人…まあ行けるか。」

「レベルによるよ〜。まあ、死にそうになったら助けてよね。」

「はいはい。お前もな。」


 照明が明るくなり、開始のゴングが鳴った。


 まあ予想通り全員俺らに向かう。

 とりあえず床に手をついてひとり突き上げるように蹴る。その流れで他のやつにローキック、肘打ち、ストレートパンチと打ち込む。隙だらけなやつは腹部に潜り込んで宝石を割ってしまった。まあ、確実な手法だし仕方ないと思う。


 その時、羽の生えた『何か』が俺を上へと運び出す。このまま叩きつけられる。そう思い、そいつの翼の付け根に向かって打った。そいつと墜落するが叩きつけられるよりはマシで、このあいだの竜の方が痛かったなと思い返した。


「いたっ。」


 すぐさま炎が飛んでくる。右手を火傷した。観客ごと燃やしてしまう算段なのだろうか。


「っ……!」


 道理には無理なことで。

 ちょっと熱いのを我慢してハイキックを決めた。いや熱いな。服ちょっと焦げたんだけど。っていうか靴普通に燃えかけたって。

 キャハキャハ笑いながらついてくる高速女も、やたらと巨大化する男も倒した。


「あと8人くらい…?」


 もうかれこれ15分くらい経っているので少し疲れてきた。モナは?すると、思わず目を見張った。


 モナが首を絞められている。


 宙づりになりそうなところをなんとか爪先で立っている。あいつ、1番強いやつだ。俺じゃなくてモナを狙ったんだ。見た目が大きく、ゴツく、鬼のようなツノの生えた男だ。

 すぐさま跳んで、腕を蹴り飛ばす。本人は動かなかったが、モナは回収した。


「コフッ…ゲホッゲホゲホッ…!」

「落ち着け。大丈夫か?」

「フー…フー…。」


 肩が上下している。でも立ちあがろうと足は動いていた。


「大丈夫…!」

「…あっそ。じゃあ心配しねーからな!」

「あ、やっぱ無理そう…。」

「おいどっちだよ。まあとりあえず、あいつは俺がやる。モナはそれ以外で。」

「了解!」


 よし、と気合を入れて、そいつの元へ。

 まずは挨拶代わりのキック…は避けられた。避けたということは多分銃弾もなかなか当たらないタイプ。銃は使い損になりそうなので、体術で仕留めるしかない。

 などと考えていた矢先、重々しいパンチが飛んでくる。あんなの当たったらマジでヤバそうじゃん…。

 その時、モナの笑い声も聞こえてきた。

 …あいつもヤバそうじゃん…。

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