第11話 魔族国にて

 パピは魔族国に入りました。お断りしておきますが、魔族国と人間の国が戦争しているなんてことは今は殆どありません。

時々人間が魔族国の豊富な地下資源や農産物を横取りしようとちょっかいかけてくるのですが、ドワーフの作った高性能な武器と獣人の強力な身体能力。魔力の多い魔族の強力な魔法の前に歯がたたず、あっけなく終戦を迎えています。

 但し某国では異世界から人間を召喚して勇者と称賛して魔族国を侵略しようとしているとの噂がちらほらパピの耳にも聞こえています。

 説明をするエルフのシャリーンが怒りのまじった声で言います。特にエルフ族は美男美女が多く、捕まえて奴隷として売買しているのだとか。

(その国、何時かお仕置きしなくちゃいけないね)

パピは思うのでした。

(勇者という名の侵略者……日本からの転移者なのかな?召喚された戦う奴隷?本人たちは正義の味方のつもりなのかな?1度確認しないといけないね)


 『誰か助けて、この狂った人間共を退治してー!』

考えているそばから助けを求める声が聞こえました。

(この思念はエルフのもの?奴隷狩りの人間共に襲われてるの?待ってて、今直ぐそこにいくよ)

パピはその思念の位置を全力で探りました。

(見えた!そこの上空に転移)


 そこは巨大な木を有する森林でした。エルフの集落です。

(あれ、結界が壊れているね)


パピはその破れた結界から侵入する人属の兵士を纏めて結界の外に放り出して前以上に頑丈な結界を2重に張りなおして助けを求める声の主の元へ転移しました。

「俺は勇者様だぞ。もうすぐ魔王を討ち取ってお前らエルフは俺達の自由になる運命なのだ。諦めて俺のものになれ。何不自由無い暮らしが出来るのだぞ」

『あの勇者ってヤンキーじゃん、なんでこんな奴を勇者にしちゃうのかなあ、召喚を司る神様って阿保なの?それともやっさんの元締めなの?』

パピの中の桃恵が怒っています。桃恵を虐めていたのもこいつらと同じ輩だったからです。

パピは、嫌がるエルフの美少女の手を無理矢理掴んで自分の腕の中に収めようとしている自称勇者の頭に拳骨を落としました。

「いでででで、何しやがる!誰だお前は!」

「値の名前はパピ、嫌がる女性に乱暴を働くチンピラ不良を懲らしめるためにはせ参じた正義の味方よ」

「な、なにいチンピラだあ、不良だあ、俺は勇者様だぞ。ふざけるな!」

「勇者ってのは世の為ため人の為に働く人の事を言うのよ。性欲物欲、金銭欲にまみれたあんたみたいなやつはけだもの以下よ、あたいがお仕置きのビンタしてあげる。泣いて喜びなさい!」

 パピは素手で自称勇者の顔に触れたくないので魔力ビンタで100往復食らわせました。

「……ご、ごめんなひゃい」

「エ、何だってハッキリ言いなさい」

 パピはまた10往復ビンタをサービスして勇者の身体をがんじがらめに拘束して。人属兵士の集まっている中央に放り投げました。そこで捕まえられているエルフの人たちを救い出して結界内に逃がしてから兵士たちに向って云いました。


「あたいの名はパピ。今後エルフの民に手を出す者は何人たりとも許さない。国に帰って国王にそう伝えなさい。罰として武器はあたいが没収するわ。普通の兵士達には10往復ビンタで許してあげる。有難く思いなさい」

 パピは範囲往復ビンタを兵士全員に与えて、命令を出す長達には更に20往復ビンタを食らわせて、馬を放して徒歩で逃げ帰るしか出来ない様にしました。

街道を顔を腫らしてトボトボ歩く兵士が多くの旅人に目撃されて、各国で噂されました。


 たちの悪い国だと懲りずに侵攻して来るだろうと思ったパピは兵士達の後をつけて王城に乗り込むことにしました。


★★★★★★★★★★★★★★


水曜日、木曜日、金曜日は投稿をお休みします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る