第10話 インデヌートバフアシアの企み

地下牢に入れられたルピナスことインデヌートバフアシアは連日のようにミネルバ嬢を貶めようとした事と、王子様とその取り巻きを女の武器を利用して篭絡していた理由について厳しく詮議されておりましたが、さすがにプロの諜報員です。口を割るどころか牢番の兵士を女の色香で惑わせて鍵を開けさせようとする始末で取調官のザギートはパピに応援を頼みました。


(ルピナスの魅了スキルはなかなか厄介な代物ね、スキル破壊の魔法を牢番さん達に付与しておきましょう)

パピ自身も自分の保有魔力量を正確には確認できていないほどの魔力量持ちなのですが、魔法破壊と違ってスキル破壊はクラっとしてしまうほどの魔力を必要とするものなのです。出来ればあんまり使いたくないのですが、仕方ありません。

パピは地下牢へ出入りする者に魅了スキル破壊の魔法を掛け、ルピナスが魅了しようとした時に反射して、自ら自白したくなる魔法をルピナスに放つ魔法を取調官に付与しておきました。


「パピ殿あの諜報員が自白しましたぞ」

取調官のザギートがパピに報告に来ました。

「では国王様にご報告をお願い致します。その場にあたいも同席したいのですけど構いませんか?」

「勿論構いません」


早速王国の重鎮方が招集されました。

本人のルピナスもバルトン王子と4人の取り巻きも縛られたまま石床の上に座らされています。


「ではルピナスことインデヌートバフアシア、その方がミネルバ嬢を無実の罪に陥れて、バルトン王子様に取り入っていたのかありていに申し上げよ」

ザギート取調官が言いました。」


「簡単なことよ。この国をバンデイール王国に乗っ取らせるためよ!その為には聡明なミネルバさんが邪魔だったからに決まってるでしょ」


インデヌートバフアシアの供述は以下のようでした。


世間知らずで、国の経営などちっとも知らないバルトン王子を色仕掛けでたらし込み、自分が将来王妃になって馬鹿なバルトンを操れば簡単にバンデイール王国の侵入を手引き出来るしこの国の軍隊も弱体化しておくことも出来るだろうと考えていたこと。

国民に人気のあるミネルバ嬢が王妃になったら、この国の経営は今以上に発展して容易に侵略出来なくなるだろうから今のうちに国外追放にしたかったとのことです。

(うん、嘘をついてはいないわね)パピは判断します。

その為に将来この国の重鎮候補の4人の取り巻きも色仕掛けで自分の思うように操っていたことも自白しました。


バルトン王子とその取り巻き達は真実を知って大いに嘆き悲しみ、また怒りましたが後の祭りです。


判決が下されました。

「バンデイール王国の諜報員インデヌートバフアシアは死刑に処す。但し寝返って2重スパイとなってこちら側に情報を提供するなら死刑の罪を無期懲役に減刑する。無期と言ってもその間に恩赦が発動されて放免されることも有るかもしないが如何する?」

と国王様。


「私が自白したことが自国に知れたら、命を狙われ、残酷な殺され方をするのは必然。このまま死刑になることを選びます」

「さようか、ならば仕方あるまい望み通り死刑に処す。またバルトン王子は国王になる資格無し。その取り巻き共も貴族籍を剥奪した上で国外追放とする。皆それぞれ違う国へ追放して連絡を取り合う事を阻止することとする。以上で判決となす」


パピは一仕事終えたので次の助けを求める声のもとに旅立つ事にしました。


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