第36話 『じごくステーション』 その6


 赤鬼の、やたら長い顔の審判員さんが立ち上がり、こう言いました。


 『回答中、いいえが9、はいが1。この『はい』は、誤りであると認められます。ずる休みしたことがない、と、無断欠勤したことがない、は、ひっかけでありまして、結局おなじことです。一回だけ無断欠勤しています。したがって、このふたつは、共に不正解と認めます。けんかしたことがないかに、いいえ、と言っていますが、地獄の基準からみて、けんからしいけんかはしたことがありません。みな、中途半端です。恋をしたことがない、に、いいえ、と言っていますが、これも、地獄の基準からみて、あまりに中途半端です。したがって、不正解がよっつ、正解はむっつと判断いたします。』


 さらに、裁判長がこう述べたのです。


 『わかりました。さらに、わたくしからつけ加えますが、あなたが、いつつのころ、あなたの、おともだちの庭から、おもちゃのフライパンを持って帰ったのは事実ですが、事件になっておらず、おかあさまが返却したので、不正解としたいと思います。したがって、正解は5つ不正解が5つとなります。よって、判断がつきません。そのため、地獄送り、現世への帰還ともに保留とし、第2地獄ステーションに送致することと決します。はい、おしまいです。』


 どわ〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️💨


 と、激しい湯気があがりました。


 ぼくは、いつの間にか、列車に戻っておりました。



            ↩️






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る