第35話 『じごくステーション』 その5


 『では、始めます。』


 チサコ裁判官は、あくまでも、比較的に、事務的に問題を読み上げました。(繰り返しは省略いたします。)


 『第1問題。これまでに虫さんを殺したことはない。』


 『い、いいえ。』


 『その調子です。では。第2問題。これまでに哺乳類を殺したことはない。』


 『げ? 哺乳類? …… いいえ。』


 『第3問題。これまでに、人を泣かしたことがない。』


 『ぶ? いいえ……』


 『第4問題。これまでに、人のものを取ったり盗んだりしたことは1度もない。』


 『あ、あ、あ、いいえ。』


 『では、第5問題。これまでに、ずる休みしたことはない。』


 『う。ずる。いいえ。かな。』


 『良い調子です。第6問題。学校や会社を、無断欠勤したことはない。』


 『む。はい。』


 『第7問題。親を泣かせたことはない。』


 『う〰️〰️〰️〰️。いいえ。』


 『はい、もう少しですよ。第8問題。お酒を飲みすぎて倒れたことはない。』


 『え? や、や、や、や、や。いい、え。』


 『では。第9問題。かつて、喧嘩はしたことがない。』


 『け………け…………………...いいえ。』


 『宜しい。最後の第10問題です。恋をしたことがない。』


 『はあ? それは、うーん。うーん。……いいえ。』


 『はい。お仕舞いです。よくぞ、簡潔に答えました。その素直さは評価いたします。では、採点員さん。採点をしてください。』



 ひゅー、どろどろどろどろどろ!  🔥 🔥



 と、そこらじゅうに、気味の悪い太鼓や笛のが響き渡りました。


          🥁  🎷













  

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