第34話 『じごくステーション』 その4
その、個室に入ると、お医者さんを取り囲んでいる、看護師さんのような鬼さんが3鬼いて、真ん中に、ドクター然とした、赤鬼さんがいました。
『幸子さん!』
ぼくは、思わず叫びました。
すると、その鬼さんが言いますのに。
『わたしは、幸子さんではなくて、チサコです。不思議が池の幸子さんは、古墳時代においては、姉でした。しかし、その後は交流がありません。現在、わたしは、このじごく鉄道出張所の裁判官です。あなたは、やましんさんですね。』
『はい……………』
『どうぞ、お掛けください。ここでは、本地獄に送致するかどうかを判断します。そのための、簡易検査をいたします。合格したら、じごく落ち。不合格ならば、現世に送還されます。判断ができなかったら、精密検査をいたします。やりかたは、かんたんです。質問を十いたします。正解が多ければ、合格です。不正解が多ければ、不合格。半々ならば、精密検査となります。回答時間は、30秒です。回答は、はい、か、いいえ、だけです。それ以外は不要です。なにか、ご質問は?』
『合格ならじごく落ち?』
『そうです。』
『なんだか、変なような?』
『そこは、気にする必要がありません。つまり、合格も不合格も、単なる名称に過ぎず、どちらが、良いか良くないかとかの価値判断には関係しません。いいですか?』
『はい。まあ。仕方ないです。』
『宜しい。では、こちら、精密時間計測器です。質問は、二回します。二回目の質問が済んで、つまり問い終わって、30秒まちます。時間が来ると、機械が『ちん』といいます。それまでに、回答があれば、すぐ、次に進みます。回答がなければ、いうえ、と、判断します。では、やります。はい、深呼吸して。リラックスしましょう。そんなに、真っ青にならなくて宜しいです。だれもが、みな、通る道です。』
🛣️
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます