第33話 『じごくステーション』 その3
なすすべもなく、ぼくは、『じごくステーション』の脇に建つ、巨大な建物に連れ込まれたのでありました。
ギリシアと、ロマネスクと、バロックと、中国と、インカと、色々混じりあったような感じの装飾が沢山施されています。
あの列車には、意外にもかなりの人達が乗っていたらしく、50人くらいは、列をなしていました。
『はい、10番までのかたは、こちら。』
『はいはい。11番から20番はこちらね。』
赤鬼さん、青鬼さん、さまざまですが、手にはこん棒ではなくて、光線銃みたいなものを握っていました。かぶとは、バイキングさんみたいです。
『あなた、なにしましたの?』
前側にいたおばさまがささやいてきました。
『いやあ。さて、ぼくは、寝ていただけです。』
『あらま。ねたりあーさんですか。それはそれは。』
『はあ。あなたは?』
『わたしは、自転車に乗っていて、子供さんとぶつかりましてねぇ。』
『はあ。それはそれは。』
『まあ、そんな気はなかったけれど、ほんの少し、重なってしまったのですよ。あなた、どこから、乗ったの?』
『ちんもくステーションです。』
『まあ、まあ。それは、たいへん。』
おばさまは、黙ってしまって、前を向きました。
そのあとは、振り返りません。
『はあ。ちんもくステーションは、人気悪いのかなあ。』
と、思っていると、うしろの人が、黙ったまま、雑誌を差し出してきたのです。
『じごく鉄道ガイドブック』
と、ありました。
うしろの人は、折り目をいれてくれていました。
そこを開くと、『別格 ‘’ちんもくステーション‘’』
とあります。
『ちんもくステーションは、取り分けて悪質な犯罪をした人や、判断がつきにくい、死者とは言えない、生き魂などが収容される特別な場所で、通常は、入ったらじごく直行便でしか出られない場所ですが、いまだに、解らないことが多々あります。』
『まあ、たしかに、解らなさすぎだよな。』
ぼくが渡されていた番号札には、『X-01』とあります。
『なんだか、やはり、別格かい?』
歯がゆいような、ちらちらと痛いような、誇らしいような、あちこち痒いような、やや、複雑な気分でした。
すると、さっそく、お呼びがかかりました。
『はい〰️〰️。X-01さん、こちらに。』
と、赤鬼さんと、青鬼さんが合体したような、かなり、アニメチックな、鬼さんが呼んでいました。
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