第25話 『ちんもくステーション』 その9


 まったく同じ要領で、3人はその占い師さんに、見てもらいました。


 『こほん。では、結果を申し述べますが、個別が良いですか? まとめて、聞きますか?』


 ぼくたちは、顔を見合わせたのです。


 『いまさら、別もなかろう。』


 『そうですね。』


 『ええ、ぼくも、いっしょで良いです。』


 『さようですか。では、まあ、それでも、一応、お一人ずつまいります。あなた、席にお着きくださいませ。』


 おじさんが、あの、小さな椅子に座ったのでした。


 『あなたさまは、今夜、消えます。どこに行くのかと言いますと、地獄です。あなたさまは、かつて、たくさんの罪を犯しました。各地獄が、あなたさまをめぐり、奪い合いをしておりましたが、話が付かず、あなたさまの兄上を召還し、話し合いを続けた結果、火星の女王さまの地獄に落とすこととなりました。そのかわり、地獄連合は、任意の夢世界をみっつほど、破壊することとなりました。ここは、含まれないような。』


 『なんと。夢世界の住人はどうなる? 兄貴はどこに行った?』


 『さあ、そこは、わたくしには、わかりませぬ。ただし、これはあくまでも、占いです。また、最後の決定は、あなたが関与すると出ておりますよ。事実かどうかは、あなたが、確かめるしかありませぬ。では、次の方。』


 キオスクのおばさんが、椅子に着きました。


 『あなたさまは、仕事上で、貧乏くじばかり引いてきました。あまりに、良い方だからです。しかし、良いかたが不運なことは、しばしばあることです。ただ、あなたの運命は、この方が……』


 と言って、占い師さんは、ぼくを指差しました。


 『この方が、握っておられます。この方が、ここにいるかぎりは、ここから離れられないでしょう。しかし、つぎには、良い地位が待っています。それが永遠の先か、ほんの少しかは、わかりませんでした。しかし、鍵は、この駅にあります。さて、次の方。』


 ぼくは、素直に椅子に座りました。


 『あなたさまは、いま、夢の中ですね。しかし、夢の中では、夢は真実なのです。あなたは、現世にあっては、もはや、絶命寸前なわけです。』


 『え? そうなのですか?』


 『はい。あなたは、死にかけています。しかし、現世の一秒は、夢の世界の一億年にも満たないくらい。あなたが、一秒長く生きれば、ここでは、一億年以上生きるのです。つまり、また、あなたが、あなたの命を握ります。しかし………あ、……イイデスカ?……』


 ぼくは、この声に、どこか聞き覚えがあるように思いましたが、どうにも、分からなかったのです。


 なんで、言いよどんだのかは、不思議でしたが、ちょっと占い師さんは、後ろを見たような気がしました。


 でもあたりには、他には誰も見えなかったのです。




















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