閑話 覆水

 気が付いたら、1ヶ月経っていた。

 気が付いたら、母が死んでいた。

 気が付いたら、姪っ子が死にかけていた。


 もう一回、もう一回という声に仕方ない風で応えてきたつい先日が疎ましい。

 何も、[[rb:そこ>・・]]の性質を忘れていたわけではない。母との数少ない約束を蔑ろにするつもりであったわけではない。その日に間に合うように気を付けていた。ただ、人は死ぬものだということを失念していた。


 姉が死んだときはそういう運命であると前々から知っていたが、母はいつまでも台所に立ち続けているものだと思っていた。少なくともあと10年ほどは。

 だって、あの人はそういう嫁入りしてきていて、外で妖や神たちと会うわけでもない。最後に会った時も、元気そうで__、その最後っていつだろう。


 適当に、曖昧に、なあなあで、実母の死に目に会えず、姪っ子の世話も出来ず、私にとって家族って何だったんだろう。無意識にいつまでもその家にあるものだと思ってたんじゃないのか、大馬鹿者が。


 あの珍しい色の髪が短いことに気が付いた時、血の気が引いた。だってあの子にはまだそのことの意味を伝えていなかった。今日伝える気でいた。

 いつ? もしかして母さんが死んだとき?

 頭の中が真っ白になったときここらでは有名な相談人が話し始めて、ことの概形を察した。

 もし末本さんが希を拾ってくれなかったら、あの子はきっとどこかで野垂れ死んでたに違いない。


 息が詰まる。顔が強張る。

 後悔が頭の中をいっぱいにしていくのに、時折安堵が挟まり、その思考とは別の層で隣には津々琉がいるのだとぼんやりと考えが浮かぶ。

 年ばかり重ねて、しょうもない意地を張るしかできない嫌な人間になってしまった。

 気が付いたら、1ヶ月経っていた。

 気が付いたら、母が死んでいた。

 気が付いたら、姪っ子が死にかけていた。


 もう一回、もう一回という声に仕方ない風で応えてきたつい先日が疎ましい。

 何も、の性質を忘れていたわけではない。母との数少ない約束を蔑ろにするつもりであったわけではない。その日に間に合うように気を付けていた。ただ、人は死ぬものだということを失念していた。


 姉が死んだときはそういう運命であると前々から知っていたが、母はいつまでも台所に立ち続けているものだと思っていた。少なくともあと10年ほどは。

 だって、あの人はそういう嫁入りしてきていて、外で妖や神たちと会うわけでもない。最後に会った時も、元気そうで__、その最後っていつだろう。


 適当に、曖昧に、なあなあで、実母の死に目に会えず、姪っ子の世話も出来ず、私にとって家族って何だったんだろう。無意識にいつまでもその家にあるものだと思ってたんじゃないのか、大馬鹿者が。


 あの珍しい色の髪が短いことに気が付いた時、血の気が引いた。だってあの子にはまだそのことの意味を伝えていなかった。今日伝える気でいた。

 いつ? もしかして母さんが死んだとき?

 頭の中が真っ白になったときここらでは有名な相談人が話し始めて、ことの概形を察した。

 もし末本さんが希を拾ってくれなかったら、あの子はきっとどこかで野垂れ死んでたに違いない。


 息が詰まる。顔が強張る。

 後悔が頭の中をいっぱいにしていくのに、時折安堵が挟まり、その思考とは別の層で隣には津々琉がいるのだとぼんやりと考えが浮かぶ。

 年ばかり重ねて、しょうもない意地を張るしかできない嫌な人間になってしまった。

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