さんぽ 旅って路頭に迷ってるみたい
「フッフフー、フッフフー、トゥット……」
愉快に鼻歌を奏でるも、座り心地が悪く、凹凸の激しい道のりが馬車を揺らすせいで胃酸が最高に沸き、今にも飛び出しそうだった。
はしゃぎ過ぎで抜群にどん底送りを突っ走り、いざとなれば頼もしい保険も国がいつしか敵と時すでに遅く、泣く泣く仕事とともに雀の涙の大枚叩いた薬を鞄から弄っていく。
独り身で良かったと心の底から思う最中、
「いやー助かりました。まさか勇者様とは」
「こんな平和な道に、護衛なんて必要かね」
「えぇ、お陰様で安心安全なんですが、私共にとっては念には念をがモットーですから」
「へぇ」
鼻の先であしらいつつ指先に伝ってくる違和感を取り出せば、念願と記憶の外の品が。
「あー、忘れてた」
「どうかなさいました?」
「いや、別に。ていうか、塩の薬って高いね」
「採取場所が限られていますから」
「早く海域を広げてくれないかなぁ〜」
「海域?」
「何でもないよ」
丹田からの必死にして悲痛な想いの代わりに辛い粒を口一杯に広げる拷問を課しながら、そっと商人と積荷に魔の石を忍ばせた。
「何かされました?」
「いいの、いいの。気にしないで」
「ところで」
「ん?」
「前方に盗賊が」
「え」
今の生き方って眩しい光に影が落ちる感じだ。
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