■2■ 二年情勢

 ルシアの騎士登用が決まった頃、シュネー国は内戦をある程度終結させ、一旦の休止期に入っていた。ルシアのいるブルーメ国とは、緊張関係にありつつも末端の商人達の関係は続いており、細々と交易も行われていた。しかし、シュネー国を脅威と見る人は多く、同様にシュネー国を警戒する他の諸国との同盟を結ぶべきという声も高まっていた。大きな戦争こそ無いものの、ルシアとリムネッタが騎士になったのは、そのように緊張が年々高まっていき、情勢が不安定で移り変わっていく只中であった。




 ルシアの元に騎士の通知が来てからの日々は、あっという間だった。慌ただしく準備をして、城にも出入りし、叙任式の準備を進めていく。今回騎士に選ばれたのはルシアとリムネッタの二人だけであり、さらには二人揃って第一騎士団、第二騎士団、それぞれの団長補佐として副団長に任命された。それは二人の剣術が入団試験時点で既に他の団員よりも頭一つ抜きん出ていたことに加え、情勢が緊迫していく中で騎士団長候補には学問よりも剣術が優先されたこと、現団長であるヘンリエッタとアニエスの騎士団長退任が近いことなど、様々な条件が重なったことによる措置であった。

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