第9話 少年達は、復活する!
カズナリはライと通話した。
「ライ、今、話せるか?」
「ああ、何か用か?」
「ライ、また出動しよう」
「俺、妖怪と戦うのをやめようかと思ってるんだ」
「ダメだよ、能力者は少ないんだから」
「よその班から応援ばかり要請してたら意味が無いだろ?」
「知ってるか? 今、僕達のことが話題になってるらしいぞ」
「マジか?」
「ああ、家の外には妖怪がいて、妖怪と戦う男達がいるという噂が流れてるんだ」
「マジか?」
「ああ、そして戦う男達はガーディアンと呼ばれてるらしい」
「マジか?」
「僕達、注目されてるんだ、頑張ろうぜ」
「そうだな、じゃあ、明日、久しぶりに出動しようか」
「そうしよう」
ライに、少しだけヤル気が湧いたようだった。
「ライ、調子はどうだ?」
「カズナリ、調子がいいわけないだろう。テンションは低いよ」
「妖怪をぶっ飛ばせば、気分も晴れるよ」
「ぶっ飛ばせたらな」
「今日は、大丈夫だよ」
「なんだ? その根拠の無い自信は?」
「最近、敵との相性が悪かっただけだと思うから」
「それで、今日のターゲットは?」
「うーん、あれは?」
「2足歩行の犬?狼か?」
「多分、狼男だね」
「狼男か、大物なのか小物なのかわからないな」
「大物なんじゃないの?有名だから」
「じゃあ、カズナリお先にどうぞ」
「え?」
「先に攻撃してくれ」
「ライは戦わないの?」
「俺は、カズナリが苦戦するようなら戦うよ」
「わかった。シン、飛ばなくていい。地上で戦う」
カズナリは、狼男に接近した。狼男がカズナリに気付いた。そこで、かまいたちの術を放った。が、狼男は微動だにしなかった。
「ダメだ、ライ、こいつ、鋼のような剛毛に覆われている」
カズナリは逃げた。
「ライ、こいつを燃やしてくれ」
「燃やせるかな?」
「考える前に行動してくれ」
「わかったよ、火炎放射!」
ライが火炎放射器のように火炎を放つ。狼男は炎に包まれて苦悶の表情を浮かべた。そして、逃げ去った。
「やったな、ライ」
「ああ、自分で仕留めるのは久しぶりだ、やっぱり気分がいいな」
「その調子で次は、あの怪鳥だ」
「おう、ハク、飛んでくれ」
「シン、飛んでくれ」
空中戦に移行した。怪鳥は数匹。ライが焼き払い、カズナリが風の刃で切り裂いた。カズナリ達が、一時的とはいえ街の制空権を手にした。ライは自信を取り戻し、完全復活したようだった。
「ライ、気分はどうだ?」
「そうだな、スカッとした」
「また、毎日、パトロールだな」
「そうだな、パトロールを再開しよう」
「ライに元気が戻って良かったよ」
「ところで、俺達のことが噂になっているのは何故だろうな?」
「目撃者がいたとしか思えないなぁ」
「外出制限があって、窓の外も見られないのに?」
「不思議だけど、秘密というのは漏れるものなんだね」
「みんなは俺達のことをガーディアンと呼んでいるのか?」
「そう聞いた」
「ガーディアンか……カッコイイなぁ!」
「そうだね」
「ということは、妖怪が出るのはこの街だけじゃないのかもな」
「そうだね、意外と日本中、もしくは世界中がこんな感じなのかも」
「てっきり、この街だけの怪異だと思っていた」
「僕もだ。だけど、そういうことには、ライの方が詳しいだろ?」
「何故、そう思うんだ?」
「ライはリーダーだから、ゼロや他の班のリーダーと話す機会があるだろ」
「そうだが……俺達みたいな班がそれだけいるのかも知らないぞ」
「そうなのか?」
「そういうことを聞くタイミングが無くてな」
「ガーディアンは何人いるんだろう?」
「さあな」
カズナリ達は、その日は気分良く帰ることができた。ということで、また、疲れ気味の毎日が始まる。
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