第8話  少年達は、また休む!

 空中に上がったフミヤが、魔女との戦闘を開始した。先手は魔女。光の弾を連発した。フミヤは魔術防御で簡単に防いだ。今度は逆にフミヤが光の砲弾を放つ。同じように、魔女に防がれた。魔女は黒い霧を吐き出した。毒の霧だ。一目で毒と気付いたフミヤが風を操った。風で霧が晴れる。フミヤは炎を噴射した。炎の噴射は炎の噴射で防がれた。フミヤが水を操る。水の刃は、水の防壁で防がれる。互角の戦いが空中で展開された。


 そして、敗れたのは魔女だった。ライが地上から放った火球が魔女を背後から襲ったのだ。火球をまともに背に受けて、魔女は逃げ出した。フミヤは追わず、カズナリ達の元へ降りて来た。


「終わったぞ」

「助かった。礼を言う」

「もう帰ってもいいか?」

「ああ、ありがとうな」


 フミヤはほうきに乗って帰って行った。その日は、そこで解散した。ライは、援軍を呼んでばかりなのでプライドが傷ついていた。カズナリ達は、あえてライに声をかけず、ソッとしておいた。


「しばらく休みたい」


 ライが言った。最近、他の班から応援に来てもらってばかりなので、プライドが傷ついているのだろう。カズナリ達は、ライの心中を察していたが何も言わなかった。


 余計なことを言うと、余計にライを傷つけてしまいそうだったからだ。カズナリはというと……実は、妖怪狩りをしようがしまいが、どちらでも良かった。どうせ、妖怪の数が多すぎて長期戦になるからだ。


 とはいえ、仲閒のことなので気にならないというわけでもない。そんな時に、アダチからの着信があった。


「やあ、どうしたの?」

「最近、元気そうだから、何かあったのかと思って」

「うん、最近、健康ゲージも上がってるからね」

「何か良いことあったの?」

「無いよ。ちょっと睡眠時間が長くなってるだけ」

「そうなんだ、まあ、良かったね。ちょっと安心した」

「また、寝不足になるかもしれないけど、今は元気だよ、大丈夫だから」

「また寝不足になるかもしれないの?」

「うん、先のことはわからないからね」

「あのさぁ」

「何?」

「個人情報だと思って今まで聞かなかったけど、カズナリ君いつも何してるの?」

「別に何もしてないよ、疲れやすい体質なんだよ」

「そうなの?」

「それに、眠れない夜も多いんだよ」

「そうなの?」

「そうだよ、特に問題は無いよ」

「カズナリ君、何かあったら相談してほしい」

「そうだなぁ……友達が元気無いんだ」

「どうかしたの?」

「失敗が続いて、プライドが傷ついたみたいなんだ」

「プライドの高い人なのね。苦難を乗り越えなくちゃ進歩しないのに」

「どうしたら元気になるかな?」

「成功体験が必要ね」

「だよなぁ」

「とにかく、もう一度チャレンジしないと」

「そのチャレンジをしたくないみたいなんだ」

「チャレンジするまで励まさないといけないかも」

「あー! 面倒臭い」

「友達なんでしょ? 支えてあげたら?」

「うん、そうする」

「あ、そうだ、カズナリ君、街のガーディアンって知ってる?」

「知らない、何それ?」

「この前、家の外には妖怪がいるって言ったでしょ?」

「うん、聞いた」

「その妖怪と戦う男達がいるらしいの」

「そうなんだ」

「みんな、その人達のことをガーディアンって呼んでるのよ」

「へー!そうなんだ」

「まあ、噂だけどね。けど、本当だったらカッコイイわね」

「そうだなぁ、どうかなぁ」

「ガーディアンは、特殊な能力を持っているらしいわよ」

「それはカッコイイね」

「でしょう?まあ、噂だけど。でも、私はそういう人達がいるって信じたいな」

「そうだね、なんか夢があるね」



 それから、カズナリはアダチのガーディアンの話を聞き続けた。







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